研究課題/領域番号 |
61570148
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
病態医化学
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研究機関 | 福岡大学 |
研究代表者 |
立石 カヨ子 福岡大学, 医学部, 助手 (60179728)
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研究分担者 |
黒木 政秀 福岡大学, 医学部, 助教授 (40122692)
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研究期間 (年度) |
1986 – 1988
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キーワード | D-GL / ニューロキニンA特異抗血清 / ニューロキニンB特異抗血清 / 低交差反応性抗体作製法 / ニューロキニンAの脳内分布 / ニューロキニンBの脳内分布 / 高血圧とニューロキニンB |
研究概要 |
NeurokininA(NKA)及びneurokininB(NKB)はC端6個のアミノ酸配列が同じであるため、各々に対して特異的な抗体を作製する事は困難であった。そのため、NKBの局在及び生理作用等に関する報告はほとんど見られなかった。そこで、我々はDーグルタミン酸とDーリジンの重合体(DーGL)の免疫寛容作用を利用した独自の免疫方法により、それぞれに対して特異的な抗体を作製する事を目的とした。NKA及びNKBに共通のアミノ酸配列を合子内にもつkassininとD-GLの結合物(K-D-GL)を免疫動物に投与して、その共通のアミノ酸配列に向った抗体の産生を抑制し、NKAとkeyhole limpet hemocyanin(KLH)の結合物(NKA-KLH)又はNKB-KLHで免疫を行った。得られた抗NKA抗血清のNKB、kassininとの交差性は12.6%と10.6%であり、K-D-GL処置を伴わない従来の免疫方法によって得られた抗血清(NKBと12.9%、kassininと42.5%交差)に比べて特異性が高かった。抗NKB抗血清の特異性は極めて高く、NKA及び種々の関連ペプチドとの交差性は、0.001%以下であった。これらの抗血清を用いてラジオイムノアツセイ(RIA)を確立し、ラット脳内での両ペプチドの分布を明らかにした。さらに、senktide(NKB受容体ペプチド)の孤束核への注入による血圧上昇、血圧反射を司る求心性神経を切断しても孤束核でのNKB量が不変な事及び高血圧ラット(SHR)の視索上核でNKBが有意に高濃度で存在する事がわかった。これらの事からNKBはNKAやsubstancepと異なり、陶束核から視床下部への経路を介し、バソプレシンを遊離して血圧を上昇させる事が示唆された。この点については、両RIAを用いてさらに検討を進めている。一方、本免疫方法の原理に従って作製した抗コレシストキニン(CCK)抗血清を用いて、肝性脳症のモデルであるEUK瘻犬の脳内でCCKが有意に減少している事を明らかにした。また、十二指腸からのCCKの分泌と他の消化管ペプチドとの関連を明らかにした。
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