研究概要 |
ヒトの肺胞の構成細胞はクララ細胞, I型上皮, II型上皮, 内皮細胞, 肺胞中隔細胞よりなり複雑な構成である. したがって肺胞の機能をより正しく理解するためには, 各構成細胞を分離して別個に検討する必要がある. そのためにまず動物肺で実験しヒトのモデルとしヒト肺胞の分離細胞の研究に着手した. 実験計画にしたがって次のよな結果をえた. 1.動物肺における実験:ラット, ウサギの肺胞pronase(collagenase)で分離しパーコールデンシティグラデエント法で分離した. (1)クララ細胞は下層に集中し, II型上皮, 中隔細胞, 内皮細胞に分離する. またクララ細胞が最も離しやすく, 中隔細胞とI型上皮は分離困難である. (2)クララ細胞はP-450の存在およびiuductionがかゝり3倍に上昇する. さらにII型上皮も同様の結果をえた. (3)中隔細胞を分離するためには, パーコール法よりも, 培養法による方法がすぐれている. この方法により肺胞中隔細胞は自律性の収縮機能をしめすことがわかった. 2.ヒトの肺胞ではpronaseによる分離は可能であるが, 粉塵の除去に充分の注意を要する. このためあらかじめ, 小葉単位に細切し, 粉塵のない部位をとり酵素処理を行い, デンシティグラディエントにかける必要がある. (1)ヒトの肺胞でもクララ細胞は下層に集中する. (2)ヒトの肺胞中隔細胞もまた小葉の細切片の培養法により分離培養が可能であり, ラットの肺胞中隔細胞と同様にアクチンフィラメントに富んでいることがわかった. 即ち肺胞は自律性の収縮機能をもつものである. 3.またgluthatione-S :Transferaseのクララ細胞に存在することを明らかにした.
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