研究課題/領域番号 |
61570158
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研究機関 | 札幌医科大学 |
研究代表者 |
水無瀬 昂 札幌医科大学, 医学部, 助教授 (00045543)
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研究分担者 |
小山田 正人 札幌医科大学, 医学部, 助手 (30183255)
小川 勝洋 旭川医科大学, 医学部, 教授 (50045514)
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キーワード | 膜裏打ち構造 / 非上皮細胞 / 免疫組織化学 / SLD |
研究概要 |
Subplasmalemmal linear density(以下SLD)は細胞が間質に接したり、細胞同士が接触する場合に、その細胞膜の内葉に出現する電子密度の高い部分をさしている。上皮性細胞の接着におけるdesmosomeやhemidesmosomeとは構造的に異なっている。 われわれはこれまで集積した多数の人体の各種の腫瘍及び肉芽腫を検索し、SLDは非上皮性腫瘍で約87%の例に出現し(210例中183例)、一方上皮性腫瘍においてはみられないこと(250例中0例)を確かめ、SLDが非上皮性腫瘍の超微構造的なマーカーの一つになることを明らかにした。 通常の電顕的観察ではこの構造の一断面しかみることができないので、この構造を広い範囲で観察する方法の開発を試みた。培養細胞を一度低張液に浸し、この細胞に注射筒にいれた緩衝液を吹き付けることによって、細胞遊離面の細胞膜および細胞内小器官の大部分を除去する方法lysis-squirting法を用いると細胞膜を内膜側から観察できることがわかった。培養状態においてもSLDの出現する細胞系を探し、この構造を広い範囲で観察することを継続課題とする。 SLDは電顕的に確認されるが、これまでの電顕的な免疫組織化学の方法を検討した結果、pre-embedding法では超微構造の保持が容易ではなく、post-embedding法の開発が必要であることが分かった。包埋剤としてエポキシ樹脂を用いた場合、免疫組織学的に検出できるものはポリペプチドなどの限られた抗原であった。LR whiteやLowicryl K4Mなどの樹脂は移温でも重合でき、post-embedding法では最も将来性があり、また最終反応物としては、ペルオキシダーゼよりは金粒子を用いる方法が、局在性がよく優れていることが分かった。これらの組合せで、SLDの構造を電顕的免疫組織化学で明らかにすることを継続課題とする。
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