研究課題/領域番号 |
61570177
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研究機関 | 佐賀医科大学 |
研究代表者 |
杉原 甫 佐賀医大, 医学部, 教授 (50039509)
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研究分担者 |
米満 伸久 佐賀医科大学, 医学部, 助手 (60145191)
宮原 晋一 佐賀医科大学, 医学部, 助教授 (90034644)
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キーワード | 肥満 / 脂肪細胞 / 軍胞性脂肪細胞 / 組織培養 / 増殖 / 脂肪合成 / 脂肪分解 |
研究概要 |
肥満とは脂肪組織の増加である。脂肪組織は脂肪細胞より成り立っているので、脂肪細胞の数の増加(即ち増殖)あるいは、中性脂肪合成による、細胞容積の増加をin vitroで検討し、肥満の発生機序を解明することが、この研究の目的である。特に肥満者の脂肪細胞を常に中心においた。 1.遺伝的肥満マウス(C57ブラックob/ob)の脂肪細胞は、培養条件下において、軽度の増殖能の亢進をみとめた。ヒト肥満者の脂肪細胞については培養を重ねている状況である。 2.視床下部性及び遺伝性肥満等の発生機序として、高インシュリン血症が考えられてきている。そこで、インシュリンが脂肪細胞の増殖と機能に如何なる影響を及ぼすかを検討した。培養条件下の脂肪細胞(単胞性脂肪細胞)に、インシュリンを投与すると、単胞性脂肪滴(Loculus)は分割されず、そのLoculusを受けつぐ娘細胞と、脂肪滴をほとんど持たない線維芽細胞様脂肪細胞(娘細胞)とに分裂する。後者は活発に増殖する。前者も、更にもう一度、線維芽細胞様脂肪細胞を生み出す。私共は、脂肪細胞の、この分裂様式を、単胞性脂肪滴保存型分裂(Loculus-Preserving cell division)と名付けて発表した。この分裂様式によって、高インシュリン血症による肥満が起っている可能性がある。なお、ヒトあるいはラット,マウスの成熟個体の脂肪細胞はインシュリンが特に高値でない場合でも、この分裂様式を示すことがあり、脂肪細胞にとって、特殊な分裂様式ではないと思われる。 3.成長ホルモン等によっては、培養条件下の軍胞性脂肪細胞の軍胞性脂肪滴は分割される。そして、分裂に当っては、分割されていた脂肪滴がほぼ均等に娘細胞に受けつがれていく。これを脂肪滴分割型分裂(Loculus-dividingcell division)と名付けた。 4.肥満者の脂肪細胞は、細胞そのものに、特徴があるのか否かを今後検討していく。
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