研究課題/領域番号 |
61570179
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
実験病理学
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研究機関 | 旭川医科大学 (1988) 札幌医科大学 (1986-1987) |
研究代表者 |
小川 勝洋 旭川医科大学, 医学部, 教授 (50045514)
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研究分担者 |
小山田 正人 札幌医科大学, 医学部, 助手 (30183255)
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研究期間 (年度) |
1986 – 1988
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キーワード | アルブミン / 無アルブミンラット / 分離肝細胞 / 肝内移植 |
研究概要 |
分離肝細胞の移植は、現在動物実験で試みられており、重症肝機能障害や代謝疾患の治療への実用化が期待できる。移植部位は脾臓、皮下組織、乳腺などが試みられているが、肝細胞はその機能を発揮する上で、門脈血中に存在するhepatotrophic factorsが必要であるたとから、肝組織内に移植することが望ましい。しかし、この場合、移植肝細胞が肝に生着したか否かの判定が極めて難しい。本研究では分離肝細胞が肝に生着するか否かを検討するために、正常肝細胞を無アルブミンラット(NAR)の肝内に注入して、アルブミンをマーカーとして、生着過程を追跡した。 〔方法〕SDラットの肝細胞をコラゲナーゼ灌流法により分離し、生存率85〜95%の浮遊肝細胞を得、これらを2×10^6ヶNARの門脈内に注入した。様々の時間に肝を灌流固定し、抗ラットアルブミン抗体により免疫染色を行なったのち、電顕的にアルブミン陽性肝細胞を検索した。 〔結果〕注入後2時間目では、多くの注入肝細胞は門脈内で集塊を成していたが、類洞内にも少数観察された。これらの肝細胞は球形に近く、細胞表面はmicrovillsに被われており、類洞内皮との接触はわずかであった。6時間目では、移植肝細胞との接触部で類洞内皮の細胞突起が欠損し、移植肝細胞が宿主肝細胞と直接、接触するとともに、類洞内皮が移植細胞を被い始める像が認められた。12時間目以後では移植肝細胞は類洞内皮細胞に被われて、肝細胞索内に完全に取り込まれた。これらの肝細胞では、隣接する宿主肝細胞との間に毛細胆管が観察され、さらにその周囲にはtight junctionも認められた。 〔結論〕門脈内に注入された肝細胞は、類洞内に接着したのち、比較的短時間内に宿主の肝細胞索内に取り込まれ、肝組織に取り組まれることが明らかになった。
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