研究概要 |
1.ヌードマウスに移植されている183株のヒト腫瘍をヌードラットに再移植して宿主ヌードラットの血清カルシウム値を測定したところ328株(15.3%)が11mg/dl以上の高カルシウム血症を示した。その原発臓器別内訳は肺癌8例,頭頚部癌(甲状腺癌を含む)6例,膵癌4例,腎癌4例,皮膚腫瘍2例,食道癌,総胆管癌,子宮頚部癌,卵巣癌それぞれ1例であった。組織型別内訳は扁平上皮癌12例,未分化癌,腺癌,腎細胞癌各4例,腺扁平上皮癌2例,淡明細胞癌,悪性黒色腫各1例で、扁平上皮癌に多い傾向が認められた。 2.これら高カルシウム血症の認められた株のうち患者血清カルシウム値を確認出来た12例について患者とヌードラットの血清カルシウム値を比較したところいずれも高値で、よい相関関係を示した。 3.宿主ヌードラットの血清リン値は血清カルシウム値が上昇するにつれて低下する傾向を示した。しかしながら、クレアチニン値が上昇し、組織学的にも尿細管に石灰沈着が認められる例では血清リン値は腎機能不全のため著明な上昇を示した。 4.腎性CAMP値%TRPを測定出来た2例のうち1例は著明に高い腎性CAMP値とやや低い%TRP値を示し、他の1例は対照群とほぼ等しい腎性CAMP値と明らかに低い%TRP値を示した。これらのことは悪性高カルシウム血症にいくつかの異なった成因があることを示唆するものと考えられる。 5.宿主ヌードマウス,ヌードラットの血清を用いてTGF(TransformingGrowth Factor)の値を測定したが、高カルシウム血症との相関関係は認められなかった。
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