研究概要 |
先に、抗熱帯熱マラリア原虫抗体産生hybridoma細胞の培養上清液を添加することにより生殖母体が人為的に誘発出来ること、および得られた生殖母体は成熟オーキネイトまで発育を続けること、生殖母体形成物質が耐熱性で低分子量物質が予想されること、などを明らかにした。そこで生殖母体形成誘導物質の同定を行うにあたって、まず、1.生殖母体形成誘導物質の特性について・・・これまでの研究経過により誘発活性物質は水溶性のものと思われるが、(1)誘発物質に親油性物質が含まれているか(2)誘発物質の分子量はどれ位か、(3)高熱の乾熱処理に耐えるか、などを検討した。その結果、(1)有機溶媒として用いたクロロホルム、エーテルでは活性物質が抽出できず、誘発活性物質はすべて水溶性であること、また水抽出で得た活性物質はこれらの有機溶媒処理によって損なわれないことが明らかになった。(2)分子量の決定は分子量10,000以下および1,000以下の物質をそれぞれ通過させる透析膜を順次使用し、活性物質の移行を検討した。その結果、生殖母体形成誘発物質が分子量1,000以下の低分子量物質であることを確認した。(3)熱安定性に関しては、200℃、30分の乾熱処理を行い、その後、活性物質を抽出して原虫の培地に加えたところ、生殖母体形成がみられ、強い耐熱性が確認された。2.生殖母体形成の解析およびin vitroにおけるオーシスト形成の試み・・・前者についてはconcanavalinAを加えて未感染赤血球をペトリ皿に附着させ、その後、感染赤血球を加えたが、このような条件下では原虫発育が悪く、生殖母体形成の解析を行うに至っていない。また後者についてはオーキネイト生存の日数は延長させることが出来たがオーシスト形成は未だみられなかった。
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