研究概要 |
昭和61年度の研究成果は以下の様である。 1.膜電位を指標にした原虫の生存性の検定法の確立:寄生赤血球から人為的に遊離させたマラリア原虫(P.yoelii)の生存性を調べる方法を検討した。遊離原虫からのグルタミン酸脱水素酵素の培養液中への漏出,【^3H】-ヒポキサンの遊離原虫への取り込みがローダミン123の原虫への取り込みと相関することから、蛍光色素ローダミン123による膜電位の測定が遊離原虫生存性の検定に有効である事が明らかになった。 2.マラリア原虫寄生赤血球の【Na^+】・【K^+】量と原虫の増殖性 (1) 原子吸光法により【Na^+】・【K^+】量を測定したところ、P.yoeliiは高【K^+】,低【Na^+】を示したが、寄生赤血球細胞質では高【K^+】レベルが低下し、低【Na^+】レベルが上昇していた。 (2)ウワバイン処理により人為的に高【Na^+】・低【K^+】レベルを示す赤血球を作成し、そこにおけるP.falciparumの増殖性を調べた。結果では、長期培養系においても原虫が、高【K^+】・低【Na^+】レベルの正常赤血球と変化なく増殖できることが認められた。 3.P.yoelii寄生赤血球の代謝物膜輸送 (1)【^3H】-2デオキシグルコースの取り込みが寄生赤血球で上昇し、それがキャリアー媒介過程によるものであることが認められた。 (2)【^3H】-メチオニン,【^3H】-イソロイシンは単純拡散により寄生赤血球に取り込まれることが明らかになった。
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