研究課題/領域番号 |
61570201
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
寄生虫学
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研究機関 | 国立予防衛生研究所 |
研究代表者 |
川中 正憲 国立予防衛生研究所, 寄生虫部, 室長 (50109964)
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研究分担者 |
遠藤 卓郎 国立予防衛生研究所, 寄生虫部, 室長 (90072959)
安居院 宣昭 国立予防衛生研究所, 衛生昆虫部, 室長 (30109962)
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研究期間 (年度) |
1986 – 1988
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キーワード | 日本住血吸虫 / in vitro培養 / 虫卵形成 / エクジステロイド |
研究概要 |
1.日本住血吸虫の成虫よりエクジステロイド(昆虫脱皮ホルモン)をラジオイムノアッセイとHPLC分析を併用して検出した。日本住血吸虫の雌雄成虫が培養液中で正常卵を産出する期間は、成虫を宿主動物から採取した後概ね0ー96時間に限定される。そこで培養96時間後の雌雄虫体のエクジステロイドを定量したところその減少率が80%に及んでいることが分かった。この期間に産出された虫卵より多くのエクジステロイドが検出され、また培養上清にも成虫からの放出が認められた。この結果はエクジステロイドが住血吸虫において、卵黄蛋白質合成や蛋白質硬化による卵殻形成の制御に関与している可能性を示した。 2.虫卵形成に関与している蛋白質を見つけるために雌特異的蛋白質の検索を行ったところSDS-PAGEにより推定分子量34,000(34Kp)の成分を見いだした。特異抗体を作成し本成分の虫体における局在を蛍光抗体法で調べると雌の卵黄腺に限定していることが分かった。この蛋白成分はinvitro培養の継続により卵黄腺から消失し、合成能をも失うことが^<14>Cーアミノ酸を用いた実験により明らかとなった。 3.卵黄蛋白質と考えられる34Kpの役割を明らかにする為に成虫の蛋白質を放射能活性をもつアミノ酸3種(チロシン、グリシン、メチオニン)でそれぞれラベルしSDS-PAGEと光顕組織切片でのトレサー実験を行った。その結果、雌ではチロシンが極めて速やかに卵黄腺組織の34Kpに取り込まれる事が分かった。チロシンにより成虫をラベルした後、48時間培養を継続したものについて見ると34Kpの放射能活性は非常に弱くなり、切片上の放射能活性は卵黄腺から新生虫卵の卵殻に移行していた。この事実と、新生虫卵が抗34Kp抗体にイムノブロット法で反応しなかった事とを考え合わせると34Kpは卵殻の前駆体とみなすことができる。
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