1.Pseudomonas cepaciaのヘモリジン産生株JN106のDNAを、PBR322を用いてEscherichia coliDH1株を形質転換し、溶血性を示すクローンを分離して、各種制限酵素による切断地図を作製した。 2.サブクローニングや欠失変異プラスミドの解析から、ヘモリジン遺伝子は、P、cepacia由来のDNA断片上の2.8kb内に存在することが示唆された。 3.ヘモリジン遺伝子をベクタープロモーターに対して逆向きにつなぎかえると溶血性が失われることから、ε、coliではベクタープロモーターからの共転写により発現することがわかった。 4.ヘモリジン遺伝子を含むBamHI断片を、高発現ベクターpTS1137のBamHI部位にそう入した。その結果、プロモーターと順方向にそう入されたクローンは不安定で、プラスミドの脱落やヘモリジン遺伝子の欠失がみられた。これは、ヘモリジンが大量に生産されると、宿主細胞に有害な作用を及ぼすものと考えられるので、この点について、次年度さらに検討する予定である。 5.ヘモリジンの人白血球に対する毒性を調べた。JN106株の培養上清を人白血球と37℃30分間インキュベートすると、混合白血球では0.75溶血単位(HU)で50%の生存率を示した。一方顆粒球に対しては、0.05HUで50%の生存率を示した。ヘモリジン非産生変異株JN1067の培養上清は白血球に対して毒性を示さなかった。 6.ヘモリジンをコレストロールとプレインキュベートすると、ヘモリジン活性の低下と白血球毒性の低下が平行してみられた。 7.ヘモリジンと赤血球膜との結合は温度非依存性であるが、膜破壊の過程は温度依存性であることが示された。
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