研究課題/領域番号 |
61570225
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
関沢 剛 東北大, 医学部, 助手 (50150264)
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研究分担者 |
塚本 哲郎 東北大学, 医学部付属病院神経内科学, 助手 (20171978)
高瀬 貞夫 東北大学, 医学部助教授神経内科学, 助教授 (60004983)
中村 正三 東北大学, 医学部助手神経内科学, 助手 (80108498)
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キーワード | Herpes simplex virus / 再活動化 / n-butyrate / 潜伏感染除去 / Ricin / 運動ニューロン / 動眼神経マヒ |
研究概要 |
昭和61年度に得られた実績は大別して3つある。【I】)マウス神経節内Herpes simplex(HSV)の潜伏感染からの再活動化機構については従来生物学的刺激因子により行なわれていた。我々は分子レベルでの再活動化機構の解明を目的として以下のことを明らかにした。HSV潜伏感染下三叉神経節をとり出し、in vitroの再活動化の系にn-butyrate2-3mMの濃度にて再活動化の促進が認められた。このことは本剤のもつ核蛋白Histon、中でもそのsubtypeである【H_3】【H_4】の過アセチル化によるgene expressionによる結果が考えられ、分子レベルでの機構解明に糸口を開いたものとして興味深い。同時に本結果はn-butyrateによりはじめて再活動化する潜伏感染が存在すること、さらにヒトを含むHSV潜伏感染の研究でin-vitroの再活動化を短期間に検索可能にしたことも大きな業績である。【II】)HSVの潜伏感染は、いったん確立されるといかなる抗ウイルス剤や免疫学的手段を用いてもこれを除去することが出来ない。我々はRicinをHSV潜伏感染ニューロンの末端に注入することによりこれをわずかに破壊せしめ、潜伏感染を除去することに成功した。【III】)これまでHSVの潜伏感染は知覚神経節と自律神経節にのみ確立されており運動ニューロンへの確立については定かでない。我々は先にマウス舌下神経核内潜伏感染と再活動化モデルを報告したが、実際の臨床例においてもこれを示唆する2例を認めた。2例とも一側性動眼神経マヒで、患者からのウイルス分離及び血清、髄液内抗HSV抗体を認め頭部Computer tomographyや脳血管撮影及び糖耐糖能にて他の原因による発症を否定しえ、第【III】脳神経核内HSV潜伏感染の再活動化によることが強く示唆された。これにより、従来からのIdiopathic Cranial neuritisに対して新たな病院論を転開することになるであろう。【I】-【III】の研究にて組織培養器具、薬品購入と有効利用されプラークビュアーにより迅速正確を促した。
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