研究概要 |
我々はHerpes sinplex virus(HSV)の知覚神経節内潜伏感染のinviroの再活動化が短鎖脂肪酸butyrateによって促進されることを見出した. すなわち潜伏感染三叉神経節についてbutyrate2〜3mM添加して培養すると対照に比べて早期に感染性ウィルスが出現した. この促進現象は培養20hにbutyrateを除去すると感染性ウィルスが増すことや非感染神経節に接種されたHSV増殖自体は逆に抑制されることにより, 再活動化自体を促進することを明らかにしした. この促進はEpstein-Barr virusなど多のDNAウィルスの再活動化を促進する5-Azacytidineや12-0-tetradecanoy/phorbol-13-acetate(TPA)では認められなかった. butyrateの作用機構を追求する目的でさらに実験が進められた. butyrateの存在下に蛋白合成阻害剤CycleheximdeまたはPromicin(いずれもHSV増殖抑制を示さない濃度)を添加するとHSV再活動化は元の率に復帰した. この結果はbutyrateは宿主ニューロンのDNAから, これら蛋白合成阻害剤感受性蛋白を転写しこの蛋白が介在してウィルスDNAの転写を催すものと考えられた. 本研究と平行して三叉神経節内潜伏HSVをRicinの皮層接種部位注入下神経軸策輸送により, 除去することに成功した. 一担確立という背景にあってこの研究は将来の臨床面における治療法の発展に大きな役割を果たすものと考えられる. 一方これらの基礎的研究の他に臨床面に業績が得られた. 従来原因不明とされる特発性動眼神経麻痺がHSV三叉神経節内潜伏感染からの再活動化により中心灰白質内に位置する動眼神経核に感染し発症したと考えられるNew ertityを確立した. これら一連の研究を進めるにあたってHSV再活動化によるプラーク算定に用いたプラークビュアーと本研究に不可欠の組織培養器具, 実験動物, 各種薬品が補助金により購入された.
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