研究概要 |
既に得られていた風疹ウイルスに対する単クローン抗体の認識抗原部位を解析した結果抗E1抗体15クローンの内4クローンが既知の3つの抗原部位に属さず, 新たに4番目の抗原部位を認識していることが分った. これらの抗体は, 赤血球凝集阻止(HI), ウイルス中和(NT)活性をもたない. 2種の抗Cクローンは, 同一抗原部位に対する抗体であった. 又, 未同定であった1クローンOS, 免疫沈降反応で分子量38Kのポリペプチドを沈降させることから, 抗E_2抗体と考えられた. 更に抗体のウイルス特異性を検討している. 現在, ポリエチレングリコールを用いずに超遠心で濃縮したウイルスで頻回免疫を行ない, 再度単クローン抗体の作製を試みている. 他方, 風疹ウイルスの構成蛋白の性状を, 酵素処理, 低PH処理等により解析した. 低PH処理ウイルスは, フオスファティジルコリンで作ったリポソームに結合するように変化し, 両親媒性(amphipbilicity)を獲得した. これはおそらくE1がトリプシン抵抗性に変った事と相関しており, ウイルス被膜と宿主細胞膜との融合機構を反映しているものと思われる.
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