研究概要 |
抗原特異的マウスT細胞の自己MHCクラス【II】分子上抗原決定基認識に関して同じH-2ハプロタイプをもつ系統間にレパートリーの差がある。このT細胞レパートリーの差を生じさせていると孝えられる抗原提示細胞膜上非クラス【II】分子RP-1は異種ラットモノクロナル抗体によって同定され、分子量42,000と58,000の非共有結合した二鎖構造を示す分子であることが示された。このモノクロナル抗体によって同定される分子はヒト抗原提示細胞膜上にも存在していることが分った。このRP-1分子は細胞膜上でモノマーのみならずダイマーの状態で存在していることが示唆されている。このRP-1分子は自己MHCクラス【II】拘束性T細胞のみならず異系や異種MHCクラス【II】分子とも交叉性を示すT細胞の活性化にも機能することが示された。またRP-1分子は既に報告されている非クラス【II】分子で細胞間相互作用や細胞接着に機能するLFA-1、P150、95や【CR^3】とは異なる新たな分子である。個体発生の際のT細胞分化における役割については現在検討中である。一方、マウス胸腺細胞の約3%、脾臓T細胞およびリンパ節T細胞のほとんどに認められる膜上分子、CB-K-C6(分子量18,000と30,000の二鎖構造)がマウスアロモノクロナル抗体によって同定された。抗CB-K-C6抗体と補体で胸腺細胞、脾臓細胞およびリンパ節細胞を処理すると抗原特異的T細胞増殖反応およびIL-2産生、累系および異種MLR反応やT細胞マイトゲンに対する反応が除去できることから、T細胞分化抗原の一つと孝えられる。また、異種ラットモノクロナル抗体によって同定されるT細胞膜上分子、Rn-TAP-1は同系のみならず異系および異種間T細胞-抗原提示細胞相互作用に機能する。モノクロナル抗体1KJ-16およびF-23で同定されるT細胞レセプターTRα、β鎖やT3分子および、L3T4分子とは異なる分子であることが示唆されており、前述のRP-1分子と同様にT細胞分化における役割について検討中である。
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