研究概要 |
我々はヒトマクロファージ(Μφ)-マウス骨髄腫間融合細胞(a-HINS-B3細胞;Μφ形質を発現)のポリ【(A)^+】RNAから独自のcDNAサブトラクション法によりa-HINS-B3細胞特異的な種々のcDNAクローンを樹立した。これらのクローンのうち今年度はコピー数が多いあるいは細胞特異性が高いなどの興味あるクローンの塩基配列をジデオキシ法により解析した。HIC4はコピー数が多いこととa-HINS-B3細胞を含む他のΜφ化融合細胞やマウスΜφcell line,RAW264細胞などにのみ転写される遺伝子クローンであり、まずこのクローンについて解析した。その結果、この遺伝子はモロニーマウス白血病ウィルスあるいはそのMCFウィルスの3´long terminal repeat(LTR)と酷似した構造とenv遺伝子の3´側の断片からなる560bpの遺伝子であることが判明した。HIC4についてはさらにa-HINS-B3細胞DNAをEMBL3に挿入したファージクローンライブラリーから約10クローンを釣り上げ当該ウィルスの全構造とプロウィルスの組込み部の周辺遺伝子構造ならびに転写状態を検討した。その結果5´LTRの上流約4Kbの部にある2Kbの細胞遺伝子がΜφ化した融合細胞およびRAW264細胞で特異的に転写されていることが判明した。このようにHIC4関連遺伝子の周辺遺伝子の活性化がみられることから、これがΜφ化とどのような相関を持つかについて検討を進めている。次に【II】E4は約1Kbの転写物をコードする遺伝子であり、種々の細胞でもある程度の転写が見られるが、Μφで最も発現が強い。この遺伝子の約半分の長さに相当する塩基配列の検索では、これ迄に報告されていない遺伝子であった。次にMS2およびMS7は各々約5Kbと2.1Kbの転写物をコードするΜφ化融合細胞,RAW264およびΜφでのみ発現されている真にΜφ特異的な遺伝子であり、現在pUCプラスミドへの再クローン化も終え、塩基配列の検索を進めている。この他MS5は塩基配列によりクラス【I】抗原をコードする遺伝子であることが判明した。
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