研究概要 |
職業性の騒音暴露により4KHzの聴力の低下、いわゆる【C_5】dipは知られているが、騒音負荷による聴力の一過性聴力損失の増大は臨界帯域の概念によって負荷音の中心周波数より1/2〜1/3オクターブ上則のテスト周波数のところに最大であることが知られている(臨界帯域)。従って騒音性難聴耳についてていねいに高音域の聴力レベルを調べると【C_5】のみならず3KHz,5KHz,6KHzなどの聴力レベルも増大していることが知られている。 しかし比較的高周波領域の騒音負荷、すなわち6KHzおよび8KHzの高周波域での音暴露が聴力に及ぼす影響についての系統的な実験研究は多くはない。著者らはモルモット蝸牛を用いて音暴露に対するCochlear Microphonico(CM)とAction Potential(AP)のIntensity Function,Maximum output voltageを指標として高周波音によっても上記の臨界帯域の概念が成立するか否かを追求した。 その結果CM,APでの上記指標をみる限り、6K及び8KHzの純音100dBで20時間暴露ではこの周波数より1/2〜1/3オクターブ上のテスト周波数において顕著に上記指標の減少が認められた。騒音負荷は高周波域でも蝸牛のコルチ器に周波数選択的に強く作用するものと考えられた。
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