研究概要 |
騒音負荷による聴力の一過性聴力損失の増大は臨界帯域の概念によって負荷音の中心周波数より1/3〜1/2オクターブ上則のテスト周波数のところに最大であることが知られている(臨界帯域). 従って騒音性難聴耳についてていねいに高音域の聴力くレベルを調べるとC_5のみならず, 3kHz, 5kHz, 6kHzなどの聴力レベルも影響をうけていることが知られている. しかし比較的高周波領域の騒音負荷, すなわち6kHz, 8kHzおよび10kHzの高周波域での音暴露が聴力に及ぼす影響についての系統的な実験研究は多くはない. まず人を対象として高周波域でのTTSを求め, 次いで著者らはモルモット蝸牛を用いて音暴露に対するCochlear Microphonic(CM)とActian Potential(AP)のIntensity Funtion Maximum output voltageを指標として高周波音によっても上記の臨界帯域の概念が成立するか否かを追求した. しかし蝸牛の双局誘導法によるCM反応は蝸牛の電局刺入部位のコルケ器のそれであるから, 刺激周波数に対する特異性があるので, 種々の音刺激に対する反応を代表させるために62年度は, Whole nerve APを主に使用して, 8kHz, 10kHzより高周波音を暴露後の影響を検討した. APは暴露音より高音域でその反応は低下していることが, 高周波音領域で認められた. しかし高周波音暴露後のEPの反応態度から強大音負荷によるMaximum output voltage(APCM)低下は刺激音に対応する当該基底膜の強制的振動による有毛細胞のCilia疲労というばかりでなく, 内血の微少循環が音ストレスによる障害を受けていることも示すものとみられる.
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