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1986 年度 実績報告書

環境毒性物質とヒトがん原遺伝子との反応による発がんとその予知

研究課題

研究課題/領域番号 61570255
研究機関京都大学

研究代表者

川西 正祐  京大, 医学部, 講師 (10025637)

キーワード発がん性 / エイムズテスト / DNA / ベンゼン / クロム / アスベスト / 活性酸素
研究概要

本研究は労働衛生上問題になっているクロム、アスベスト、ベンゼンなどを選び、塩基配列がわかっているヒトがん原遺伝子との反応性を詳細に検討し、その機構を解明することである。その結果から発がん性を予知することが出来るかどうかを検討した。1)DNA試料はヒトがん原遺伝子(C-H-ras)を制限酵素を用いて、数百塩基対のDNAに切断し、5末端をγ-【^(32)P】-ATPを用いてラベルし調製した。2)六価のクロム化合物およびアスベスとは過酸化水素存在下でDNA特にグアニンと反応した。その反応に活性酸素が関与していることが電子スピン共鳴法で証明された。3)ベンゼンの発がん性の本態を解明するために、ベンゼンおよびその代謝物であるフェノール、ハイドロキノン、カテコール、1,2,4-ベンゼントリオールとDNAとを種々の条件で反応させた結果、ミクロゾームとNADPHを添加しなくても1,2,4-ベンゼントリオールはDNAと強く反応した。ピペリジン処理を行なうとDNAは強く切断されるが、ピペリジン処理を行わなくてもDNAの切断が認められた。このことは1,2,4-ベンゼントリオールが単にDNAの塩基を修飾するだけでなく、DNA鎖を切断することを意味する。また、Maxam-Gilbert法によりグアニンおよびそれに隣接するチミンでの切断が特に強いことが認められた。電子スピン共鳴スペクトルの結果から、1,2,4-ベンゼントリオールの自動酸化過程でOHラジカルが生成することがわかった。これらのことから、ベンゼンの発がん性は、ベンゼンが1,2,4-ベンゼントリオールに代謝され更に酸化されて生成するOHラジカルのDNAとの強い反応性によるものと考えられる。本研究で、Amesのテストで陰性であるアスベストやベンゼンの場合でもDNAと反応することを明らかにしたことは、DNAとの化学反応性から発がん性を予知することが可能であることを示唆している。

  • 研究成果

    (8件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (8件)

  • [文献書誌] S.Kawanishi;S.Inoue;S.Sano: J.Biol.Chem.261. 5952-5958 (1986)

  • [文献書誌] S.Kawanishi;S.Inoue;S.Sano;H.Aiba: J.Biol.Chem. 261. 6090-6095 (1986)

  • [文献書誌] 川西正祐,井上純子,佐野晴洋: 産業医学. 28. 571 (1986)

  • [文献書誌] 川西正祐,井上純子,佐野晴洋: 日本衛生学雑誌. 42. 169 (1987)

  • [文献書誌] 川西正祐: 日本農芸化学会誌. 61. 246-249 (1987)

  • [文献書誌] S.Kawanishi;S.Inoue;M.Kawanishi: J.Biol.Chem.

  • [文献書誌] 川西正祐,佐野晴洋: "生化学実験講座8巻" 東京化学同人, 24 (1987)

  • [文献書誌] 川西正祐: "産業内科学" 医歯薬出版, 10 (1987)

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公開日: 1988-11-09   更新日: 2016-04-21  

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