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1986 年度 実績報告書

カドミウム環境汚染改善後の地域住民の健康状態の推移

研究課題

研究課題/領域番号 61570258
研究機関長崎大学

研究代表者

齋藤 寛  長崎大, 医学部, 教授 (80004901)

研究分担者 茅野 充男  東京大学, 農学部, 助教授 (10007677)
池田 高士  長崎大学, 医学部, 助手 (00100834)
守山 正樹  長崎大学, 医学部, 助教授 (10145229)
キーワードカドミウム / カドミウム腎症 / メタロチオネイン / 【β_2】-マイクログロブリン / 近位尿細管機能異常 / カドミウム土壌汚染 / カドミウム環境汚染 / 重金属環境汚染
研究概要

長崎県厳原町佐須(対馬)は1000年もの昔から鉱山活動によるカドミウム土壌汚染をうけてきた。ここに長年にわたり居住した住民の多くにカドミウムによる健康障害(多発性近位尿細管機能異常症)が発現していることを研究代表者(齋藤)は1977年に明らかにした。この事実によりその後に汚染水田の復元工事(客土法)が行なわれ、工事は1983年に完了した。その結果、住民のカドミウム摂取量は従前の250mg/日から一般日本人の平均摂取量(50mg/日)に近い80mg/日まで激減して3年が過ぎた。近位尿細管機能障害のもっともよい指標である早朝尿【β_2】-マイクログロブリン濃度を1977年と1986年とで比較し、カドミウム環境汚染改善後の地域住民の健康状態の推移を明らかにしようと試みた。1986年5月に佐須地域の6歳以上の住民126人(6歳以上の同地域住民総数の92%)の早朝尿【β_2】-マイクログロブリンを測定した。そのうち58人は1977年にも測定していた。なお1977年にも6歳以上の住民を93%の受診率で早朝尿【β_2】-マイクログロブリンを測定している。この58人を7年間をへだてて早朝尿【β_2】-マイクログロブリンを比較することにより1977年当時すでに高度の尿細管障害を有していた住民はカドミウム暴露が軽減したのちも病変はさらに進行悪化していること、障害が当時中等度だった住民は現在にいたっても不変であること、障害が当時軽度であった住民は現在は正常化していることが確かめられた。なお1977年当時に尿細管障害が高度で、この障害がその後も持続,悪化した住民のうち3名が1986年に死亡し剖検した所、全例にいわゆるイタイイタイ病に認められたと同じ骨軟化症が存在することが確認された。尿中カドミウムについても上記58人について比較したが、尿中カドミウムはカドミウム摂取量が半分以下に激減した3年後も従前と変化がなかった。

  • 研究成果

    (4件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (4件)

  • [文献書誌] Yuko MITANE: Fundamental and Applied Toxicology. 6. 285-291 (1986)

  • [文献書誌] Chiharu TOHYAMA: J.Appl.Toxicol. 6. 171-178 (1986)

  • [文献書誌] 杉平直子: 日衞誌. 41. 665-671 (1986)

  • [文献書誌] 野見山一生 編 齋藤寛: "産業内科学書(上)" 医歯薬出版, (1987)

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公開日: 1988-11-09   更新日: 2016-04-21  

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