研究概要 |
デュシェンヌ型筋ジストロフィー症(DMD)はX染色体の21領域(Xp21)の遺伝子の欠失あるいは変異による遺伝子筋肉疾患である。DMDには一定した欠失変異がみられないので連鎖解析を応用した家系調査を行ったDMD遺伝子は2,000kbの巨大な遺伝子であるので巨大遺伝子の解析が可能なパルスフィードゲル電気泳動(PFG)を用いてDMDのDNAの解析を行った。 DNA制限酵素断片長多型(PFLP)で表わされる遺伝子型を用いた連鎖解析による家系調査を行った。母親が確実に保因者でDMDと連鎖する遺伝子型が明らかな場合は、その母親から生まれてくる子供の診断は可能であるが、明らかな遺伝子型が得られない場合は診断は困難である。遺伝子型を決める場合、制限酵素およびDNAプローブの選択は重要である。両者の新しい組合せを用いた実験でも、患者の姉が保因者であるかどうかを判定することはできなかった。 PFGを用いて患者8例のDNAを調べた。まず巨大DNA分子の白血球から調整技術の確立を行った。水溶液中でDNAを抽出すると分解されるので、細胞をアガローヌ中に埋め込み、酵素処理によりDNAをアガロース中で裸にする。アガロースゲル薄片中のDNAをPFGで分析し、サザンブロット法にてDNAの欠失の有無を調べた。制限酵素SfiIとプローブpDRT87-1、87-8及び87-15を用いた。いずれの患者DNAに欠失があるか否かを明らかにすることはできなかった。他の制限酵素断片とハイブリッド形式するプローブを用いて検索を行っている。最初、cDNAをプローブとして調べる方法やPCR(polymerase chain reaction)を用いた方法が報告されている迅速、簡易で正確なDMD遺伝子診断を開発する必要がある。
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