研究概要 |
実験開始時に10〜12週令のCFW系の雄マウスを用い、偽似曝露およびキシレンまたはベンゼンの4000ppmガスに毎日1時間曝露したのち8時間無人的にビデオレコーダーに記録した。これを5日間繰り返した。暗期は19.00-7.00で曝露は19.00〜20.00とした。巣床ケージの外に滞在する時間は、キシレンはトルエンの場合に似て、直後の1時間に増加傾向を示した(第5日p〈0.05)。通路の通過回数もキシレンのみ直後の1時間に増加傾向を示した(第1,2日p<0.01)。摂餌時間は、キシレンの場合平均値が増加傾向を示したが、バラツキが大きく有意差を示さなかった。その頻度はトルエンの場合に似て、増加傾向を示した(第1,2,3日とも直後の1時間と全体の8時間値がp<0.05またはp<0.01)。ベンゼンはキシレンとは逆に一部に有意な減少傾向が示された。摂水時間は、キシレンは全体的に増加傾向を示した(第1,5日の8時間値がp<0.01、第3日の直後1時間がp<0.05)。この摂水時間の変化はトルエンでは観察されなかった現象であった。摂餌・摂水ケージに滞在する時間は、キシレンはトルエンの場合に似て直後の1時間が増加傾向を示した(第3日p<0.05)。回廊に滞在する時間は、キシレンの場合平均値は増加傾向を示したが、バラツキが大きく有意差を示さなかった。他方、ベンゼンの場合キシレンとは逆に全体的な減少傾向が観察された(第1,3日の8時間値がそれぞれp<0.05とp<0.01)。この回廊滞在時間の変化はトルエンでも見られなかった現象であった。キシレンはトルエンに似た作用を示したが、摂水時間に関してはキシレンのみ変化を示したことや、巣床の外に滞在する傾向がトルエンの方が強いことから微妙な違いがあると思われる。ベンゼンはトルエン・キシレンと比較して作用が弱いように見えるが、回廊滞在時間の変化がベンゼンにのみ観察されたことから作用の質が異なることが推測される。
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