研究概要 |
組織学的に慢性肝炎と診断された患者が、どのくらいの経過で、どれくらいの割合で肝硬変・肝癌に移行するかを解明することを目的として、研究を開始した。適切な記録が利用できる1973年から1982年までの10年間に、順天堂大学附属病院に入院した慢性肝炎,肝硬変の診断名をもつ患者は、2314名であった。この中で組織診断の記録のない者,脂肪肝,急性肝炎および肝癌の診断がついたものは除外することにした。現在1976年までの524例をチェックし、152例(29.0%)を除外した。この割合で除外例があると仮定すると、最終的には約1600例が解析対象として残ることになる。現在全症例につき、氏名,生年月日,性,肝生検年月日,初診年月日,発病年月,本籍,現住所の転記は終了しており、診断の確認による対象例の選択と、飲酒歴,喫煙歴,輸血歴およびHBウイルスマーカーの転記をいそいでいる。なお、生死の確認および死因の把握のため、戸籍および死亡診断書の調査の許可を昨年11月に法務局に申請中である。許可がおり次第、調査を開始し、慢性肝炎患者の生存率,肝硬変,肝癌の移行に影響する要因の検討を行う予定である。
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