研究課題/領域番号 |
61570265
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
衛生学
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研究機関 | 順天堂大学 |
研究代表者 |
稲葉 裕 順天堂大学, 医学部, 助教授 (30010094)
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研究分担者 |
市川 尚一 順天堂大学, 医学部, 助手
浪久 利彦 順天堂大学, 医学部, 教授 (10052929)
ICHIKAWA Shoichi Department of Gastroenterology, Juntendo University School of Medicine
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研究期間 (年度) |
1986 – 1987
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キーワード | 回顧的コーホート研究 / 肝癌 / 肝硬変 / 慢性肝炎 / 肝生検 / 病歴調査 / 生存率 / 比例ハザードモデル |
研究概要 |
組織学的に慢性肝炎、肝硬変と診断された患者が、どのくらいの経過で、どのくらいの割合で肝硬変・肝癌に移行するか、またそこに影響する要因は何かを解明することを目的に研究を実施した。順天堂大学附属病院に入院して、組織学的に慢性肝炎、肝硬変と診断された患者のうち、昭和48年(1973)から昭和57年(1982)の10年間の者1,034名を対象とした。入院記録から氏名、性、生年月日、肝生検年月日、本籍、現住所、飲酒歴、喫煙歴、輸血歴、黄疸の既往、HBウィルスマーカーの有無を所定の調査票に転記した。法務局の許可を得て、本籍照会による生死の確認を行ない、死亡者は死亡診断書により死因を確認した。データはコード化して大型計算機に入力し、パッケージプログラムにより集計解剖を行なった。平均追跡期間は7.1年であり、死亡例は、肝硬変367例中150例(40.9%)、慢性肝炎640例中89例(13.9%)であった。5年生存率は肝硬変男性63.36%、女性73.64%、慢性肝炎男性94.83%、女性89.06%であった。死因は肝硬変群で肝癌が男27.9%、女17.9%を占め、慢性肝炎群では、男16.9%、女8.3%であった。死亡率の高い肝硬変群男性で、リスク要因別の生存率をみると、生検時50歳以下の群、門脈圧亢進症の手術を実施した群の生存率が高いことが認められた。リスク要因相互の関連を考慮した比例ハザードモデルの解析では、年令と喫煙の影響の大きいことが認められた。肝癌死亡に限定して比例ハザードモデルを適用した結果では、飲酒(「習慣なし」がリスクを高める)、喫煙、手術の影響の大きいことが認められた。
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