研究概要 |
1.作業環境気中のオイルミストの捕集:〔方法〕:実験的に平面研削盤(水溶性機械油使用)を定常状態で運転させ, 研削面より水平方向に1m地上より1mの高さにAndersenサンプラーを設置し, ガラス線維濾紙上に15〜180分間採気吸着後の粒径分布を観察した. 〔結果〕:15分間の採気では, 1〜2.5μm径付近に谷を有する二峰性分布が認められたが, 90分間以上の採気では大粒径の峰が小粒径方向に移動し, 一峰性に近似する傾向があった. 捕集用濾紙の材質の外, 流量と通気時間の影響を検討中である. 次に個人サンプラーへの応用を考え, 携帯粉じんサンプラーのhead部分を応用して粒径を二段階に分級捕集する方法を実験中である. 吸着材にはガラス線維濾紙の外細孔濾紙を用い, 流量を2〜2.5l毎分として回収能力を調べている. この方法は, 油性機械油の間歇的高濃度ミストの捕集にも対応できるものと考えている. 2.毒性の検出:〔方法〕:毒性の指標は変異原性とし, umu法を中心に検討した. 某機械工場より提供された機械油(油性3種類水溶性5種類)及び防錆剤(油性および水溶性各1種類)をDMSO溶液として使用した. 水溶性機械油はSepPaKC_<18>により3分画とし濃縮後0.1〜10μl当量/well, 油性のそれは0.1〜1.0μl/wellの範囲で量-反応関係を観察した. 更に油性機械油及び防錆剤については, DMSOで段階稀釈した試料(0.1〜1.0μl/well)-定量の陽性標品(Tr-P-1:100ng/well)を添加し, 変異原性試験の干渉要因として機械自身の抗変異原作用を検討した. 〔結果〕:油性防錆剤に弱い変異原性を示す傾向が認められた外は陰性もしくはKillingを示した. 一方, 油性機械油及び防錆剤のすべては試料添加量に応じて, 一定量のTr-P-1に由来する変異原性の低下が観察され程度の差はあるものの抗変異原作用を有することが認められた. この作用は, 機械油の使用前後で著明な変化はなかった. 更にこの干渉物質の特定と機序の解明は今後の検討課題である.
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