研究課題/領域番号 |
61570276
|
研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
二塚 信 熊本大学, 医学部, 教授 (80040195)
|
研究分担者 |
稲岡 司 熊本大学, 医学部, 助手 (60176386)
井本 岳秋 熊本大学, 医学部, 助手 (60128254)
|
キーワード | 労働生理 / 農村医学 / 作業姿勢 / 人間工学 / 腰痛 |
研究概要 |
本年度は過去2年間に実施したイチゴ施設園芸及び伐木造材作業に関する調査資料の解析及び結果のとりまとめを中心に研究を進めた。 特に過去2年間の研究報告で触れるところの少なかったイチゴ施設園芸の収穫・調整作業の際の作業姿勢に関する人間工学的及び臨床的観察結果について述べる。 収穫・調整作業の際の作業姿勢については、ポケットコンピュータ(シャープ製PC-1500)を用いて、1秒毎のタイムスタディにて観察記録し、併せて、作業姿勢による腰部への急性的な負担をみるため、作業前後の腰痛可動度の変動について、楽な立位、最大前屈位および最大後屈位における彎曲度をT.h_<12>とL_4の棘突起にKyplometerの両脚を当てがって測定した。その結果、収穫作業においては前屈中腰(膝曲げ)が作業時間帯の49.5%、前屈(膝伸ばし)が34.6%、この両者で84%を占めた。調整作業では正坐が70.2%を占めたが、作業時間の経過と共に、横座りの割合が増え、疲労に伴なう変化と考えられた。収穫作業後にはむしろ腰推可動度の増加がみられ、収穫作業の場合上記の姿勢の間に立位や畝に片足をかけての前屈中腰姿勢、肘-膝中腰姿勢などが短時間ながら頻回に挿入され、動的な労働と考えられた。他方、調整作業の場合、正坐・横座り姿勢(男性の場合片立膝や胡座姿勢)が長時間保持され、他の動作、姿勢への転換が少なく、靜的な労働と考えられ、腰椎動度は特に前屈において減少が認められた。臨床的には、イチゴ栽培農家ではみかん・稲作農家や非農家に比し、農繁期に腰痛を訴えるものが76%と有意に多く、筋肉性(疲労性)腰痛と考えられた。これらへの対策として調整作業の際に椅座で可能な選果台を利用すること、腰痛に対しては温熱療法や腰痛体操の適応と考えられた。
|