本研究は、比較的頻度の少ない原因不明疾患の患者発生様式が、時間空間集積性を有するか否かをみるための統計指標(集積度指数)を考案し、その妥当性を検討し、また、実際の疫学資料に適用して応用上の有用性を明らかにすることである。本年度は以下の研究成果が得られた。 1.集積度指数の考察 モデルの検討を行い、空間と時間距離の重みの割合についての検討を行い、適当と思われるケースを決定した。そして、時間を固定すると空間(地域)集積性を、空間を固定すると時間集積性をみることのできる、統一的な指標であることを明らかにした。また地理的特性を考慮した場合についても、小地域単位の人口を考慮して、帰無仮説を検証するために実施すべきシミュレーションの一般的なアルゴリズムを明らかにした。 2.疫学資料への適用 原因不明疾患として川崎病を例にとり、対象地域のサイズを都道府県にとり、小地域を市区町村の区分で行うことにし、本研究に必要なデータを作成し、半数以上の作業が終了し、次年度に引き続いて完了し、時間空間集積性の程度をみる予定である。 3.シミュレーションの実施と次年度の計画 空間について等方的な場合については、シミュレーション計算がほぼ完了し、指数の統計的性質や時間空間距離ごとの指数への寄与の程度などを検討し、明らかにした。次年度には、実際の疫学資料に即して、空間的に等方的でない場合についてシミュレーション計算を実行し、本研究の有用性を明らかにし、研究を完了させる予定である。
|