研究分担者 |
由良 晶子 近畿大学, 医学部公衆衛生学教室, 助手 (80142595)
早川 和生 近畿大学, 医学部公衆衛生学教室, 助手 (70142594)
三戸 秀樹 近畿大学, 医学部公衆衛生学教室, 講師 (00101402)
大国 美智子 近畿大学, 医学部公衆衛生学教室, 助教授 (90088542)
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研究概要 |
50才以上の中高年齢に達した双生児100組について総合的健診を実施した。卵性診断の結果、一卵性75組、二卵性25組と判明した。一卵性双生児のうち、ペアの双方ともが高血圧(WHO基準)だったもの13組、ペアの双方とも正常血圧だったもの19組、ペアの一方のみが高血圧で他方が正常血圧だったもの10組であった。これら各ペア群について血清脂質(総コレステロール,トリグリセリド,HDL,アポタンパクA【I】,A【II】,C【II】C【III】,B,E,等)を検討した。 【結果】トリグリセリド値は、共に高血圧群で最も高く(151.3 ±40.5mg/dl)、共に正常血圧群で最も低値(103.4±38.0mg/dl)を示した。片方のみ高血圧の群は、それらの中間値(高血圧者136.1 正常血圧者132.0)を示した。トリグリセリドと同様の傾向が他の脂質(総コレステロール,アポタンパクB,アポタンパクE,リン脂質,等)でもみられ、平均血中濃度は共に高血圧群で最も高く、次いで片方のみ高血圧群、そして共に正常血圧群の順で段階的数値を示した。このことを模式的に表現すると、血清脂質が比較的に高値の場合は他の要因の影響を越えて優位に高血圧と関連すること、血清脂質が境界域の場合にはじめて他の要因の影響が疫学的に顕在化し、従って疫学調査ではこの群が血清脂質以外の要因を解明できるKey(鍵)集団であること、低値の場合は素因および他の要因の影響を覆って高血圧の発現を妨げている可能性のあることを示唆するものと思われる。 HDLコレステロール値に関しては、共に高血圧群と共に正常血圧群の間でほとんど血中濃度に差がみられず、また片方のみ高血圧群でも高血圧者と正常血圧者が近似した値を示すことが判明した。
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