研究概要 |
1 食品添加物に関する研究:市販の天然添加物27品目(着色料21, 増量材4, 着香料2)についてレクアッセイ, エームステストおよびAFー2を用いた抗変異原性試験を実施した. レクアッセイ陽性はくん液(着香料)のみであった. またエームステスト(TA100,TA98)陽性はくん液と, アナトー色素, コチニール色素(着色料)であった. 抗変異原性試験では全ての品目がAFー2の変異原性を抑制しなかった. また急性毒性はくん液のみが測定でき(4.84ml/kg)他は全て5.0g/kg以上であった. 2 有機ひ素化合物に関する研究:着色料に用いられるうこん色素は代謝活性化を阻害するとの報告があるが, 代謝活性化の系による抗変異原性試験は未経験である. そこでモデル実験を組む目的で有機ひそ化合物13品目(全て市販)のレクアッセイ, エームステスト, 抗変異原性試験(非代謝活性化, 代謝活性化の2系), チゃイニーズハムスター株化細胞を用いてSCEを調べた. その結果 エームステスト:陽性の化合物はみられなかった. 菌に対する毒性も低いものが多かった. レクアッセイ:陽性は化合物であった. SCE:7種の化合物で頻度の上昇がみられた. しかしそれらは高々対照の2倍程度であり濃度依存性は不明瞭であった. 抗変異原性:AFー2誘発変異を抑制する化合物はみられなかった. ケルセチンの代謝活性化による変異原性(TA98)を抑制した化合物はPーアルセノソベンゾイックアシド,アソジン,Pートリルアルソン酸の3種であった. 3 茶の成分に関する研究:紅茶,ウーロン茶,日本茶,プアール茶の熱水抽出物について抗変異原物質の検索を行った. その結果日本茶がAFー2の変異原性を最も強く阻害した. また抽出物を高速液体クロマトグラフィーによって分画した結果通常いわれているカテキン類とは異なるフラクションに抗変異原活性が最も強くみられた.
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