研究課題/領域番号 |
61570291
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
藤原 敏 神戸大, 医学部, 講師 (20173487)
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研究分担者 |
上野 易弘 神戸大学, 医学部, 助手 (30184956)
柳田 泰義 神戸大学, 医療技術短期大学部, 助教授 (50031373)
溝井 泰彦 神戸大学, 医学部, 教授 (00030809)
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キーワード | 脳挫傷 / コンピューターシミュレーション / 打撲 / 転倒 / 頭蓋内圧変動 / 衝撃加速度 |
研究概要 |
(実験方法)ヒト頭頸部の基礎的な数学モデルを構築し、テクニカルコンピュータを用いて、ヒト頭頸部をシミュレーション化した。一方、このシミュレーションモデルの妥当性を検討し、更に改良を加えるために、頭頸模型を用いた、種々の条件下での打撃実験及び実際例における脳挫傷例の検討を行った。 (結果)1.打撲及び転倒実験。ほぼ同じ衝撃力の場合の最大値及び持続時間を比較すると、衝撃力は、打撲で206kg・2.6ms、転倒で206kg・4.4ms、衝撃加速度はそれぞれ、25.4g・2.6ms、32.1g・4.6ms、打撃側の頭蓋内圧変動はそれぞれ、+1029g/【cm^2】・2.0ms、+923g/【cm^2】・3.8ms、打撃の反対側の頭蓋内圧変動はそれぞれ、-461g/【cm^2】・2.0ms、-390g/【cm^2】・20msであった。すなわち、頭蓋内圧変動は、打撲及び転倒のいずれの場合も打撃側で陽圧、打撃の反対側で陰圧であり、最大値に著明な差は認められないが、持続時間はいずれも転倒の場合において長く、特に打撃の反対側において顕著であった。2.ハンマーの重量を変えた場合の打撲実験。ほぼ同じ衝撃力の場合の最大値及び持続時間を比較すると、衝撃力は、820gのハンマーでは、200kg・2.0ms、1480gのハンマーでは、206kg・2.6ms、衝撃加速度はそれぞれ、23g・2.0ms、25.4g・2.6ms、打撃側の頭蓋内圧はそれぞれ、+520g/【cm^2】・2.8ms、+1029g/【cm^2】・2.0ms、打撃の反対側の頭蓋内圧はそれぞれ、-240g/【cm^2】・2.0ms、-461g/【cm^2】・20msであった。即ち、打撃物の重量が増す程、衝撃力及び衝撃加速度の持続時間は長くなり、また頭蓋内圧変動の最大値は打撃側及び打撃の反対側ともに大となるが、持続時間は短くなる傾向にあった。3.実際の脳挫傷例の検討。69例の脳挫傷例を検討した結果、打撲例ではcoup contusionを、一方転倒例ではcontrecoup contusionを生じやすいこと、また頭蓋骨折に関しては、打撲例では陥没〜粉砕骨折が多く、転倒例では線状骨折が多いことがわかった。
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