研究概要 |
1.毛髪から型物質を抽出して型判定を行なう方法:A型とB型毛髪を洗浄後、毛根部を除去して6-10cmを圧挫した。抽出液として、1%octgl-glucose-0.2MTris bufferの100μlを用い、室温にて3時間抽出後pH7.0に調整し、試料とした。試料を100μl/wellで37℃にて2時間、更に4℃で一昼夜microplateにcoating後、1%BSA-PBS-Tweenで洗浄し、50倍に希釈したmonoclonal(Mc)抗A及び抗B抗体を添加後,37℃で2時間反応させた。次に500倍希釈のalkaline phosphatase標識goatF(ab)-Anti-Mouse IgG+IgM抗体を同様の条件で反応させ、p-nitrophenyl phosphateを加えて2時間後に405nmにおける吸光度を測定した。その結果Mc抗Aを感作したwellのブランクの吸光度が高く(0.4-0.6)、また試料とブランクにおける有意な吸光度差が得られなかった。 2.直接毛髪をmicroplateに付着させて型判定を行なう方法:圧挫した毛髪5mmの先端部をmicroplateに接着剤で付着させ、1%BSA-PBS-Tweenを加えて37℃で30分間放置する。以後1と同じMc抗体及びconjugateを使用し、同様の操作を行なった。その結果、ブランクの吸光度は0.1に低下した。Mc抗Aを感作したA型及びB型毛髪において、A型はB型より明らかに高い吸光度を示したものの、ブランクとの吸光度差が0.1もなかった。一方、Mc抗Bを感作したA型及びB型毛髪では吸光度の差は殆んどなかった。試料調整の方法としては本法で充分に目的が達せられるが、ELISAの感度を向上させる為にavidin-viotin法やdouble antibody sandwich法の導入が必要であり現在検討している。 なお、この酵素免疫測定法の手技を糞便からの血液型判定の為に糞便中に必ず含まれる胆汁の血液型判定に応用したところ、A,B,O型の胆汁の型判定を正確に行なうことができた。
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