研究概要 |
ラットを4群に分け、対照群,メタンガス及び炭酸ガスならびに一酸化炭素ガスを夫々の濃度で死亡するまで吸入させ、肉眼的、光顕的ならびに電顕的観察を行い、各群の一部の肺洗浄液について、肺表面活性物質の検出を試みた。 対照群は、無処理群と酸素を5%と窒素を95%に調整した空気を吸わせた群に分け、同様の検索を行ったが、既報の所見を確認した。 一般に肺は萎縮して含気性に乏しい。光顕的に肺胞内に貯留物があり、電顕的には微小な構造物の充満する中に、格子状,渦巻状の構造物が存在している。これらの構造物は、ラットの出産直前の胎仔肺ならびに直後の新生仔の肺に見られる構造物と同様で、肺表面活性物質であるとされている。 吸入するガスの種類に特徴的な所見を見いだすことはできない。 肺の洗浄液に含まれる燐脂質についての分析は、いずれの群もタンパクおよび脂質が対照群に比較してともに増加している。 人体例は、司法解剖の中から適当な例を選んで、上記の検索法と同様の事を行い、絞頸による窒息例では、ラットにおいて見たものと同様の形態学的所見を得たが、例数が少ないので追加収集を行う予定である。
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