研究課題/領域番号 |
61570295
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研究機関 | 自治医科大学 |
研究代表者 |
池本 卯典 自治医科大学, 医学部, 教授 (90048942)
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研究分担者 |
岡本 宏明 自治医科大学, 医学部, 講師 (30177092)
梶井 英治 自治医科大学, 医学部, 助手 (40204391)
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キーワード | Monoclonal抗体 / 血液型判定用試薬 / 種属鑑別 / 血痕検査 / MN式血液型 / Lewis式血液型 / 糖鎖構造 / ABO式血液型 |
研究概要 |
Mouse-mouse hybridoma cell lineによって、ABOシステム、(抗A、-B、-H(O))、MNシステム(抗M、-N)、Lewisシステム(抗L^a_e、-L^b_e)および抗Glycophorin A、-Bならびに抗Glycolipidなどのmonoclonal抗体を作製した。これらの抗体を用いて以下の研究実績を得た。 (1)抗A、抗B、抗H(O)はいずれも、人由来の抗A、抗Bと比較して特異性に優れ、血液型判定用抗体として適格である。抗H(O)も植物性凝集素の比較して孫色はなく抗体価、凝集素価の点で優れていた。また、Flow cytometryを併用すると、血痕や唾液斑からの血液型判定用抗体としても有用である。 (2)抗M、抗N抗体も特異性に優れ、血液型判定用抗体として適格である。動物血で識別されるものはchimpanzeeのM抗原のみであった。 (3)抗L^a_e、抗L^b_eの特異性は高く、人のLewis抗原とchimpanzeeのLewis抗原以外は凝集しなかった。なお、血液型判定用抗体としても有用と考えられる。 (4)各種酵素処理血球と抗Glycophorin-A、-Bおよび抗Glycolipidとの反応系において、Dispaseで処理するとMNSs、Duffy、kell-cellano、Lutheran、Xg系の抗原活性は消失し、抗Glycolipidに対する活性は残り、ABO、P、Rn、Lewis、Kidd、I系の抗原活性は残る。また、Trypsin処理により、MN抗原と抗Glycophorin-Aに対す活性を消失し、Chymotrypsin処理により、Ss、Duffy、kell-cellano Lutheran、Xg系の活性と抗Glycophorin-Bに対する活性を消失する。これらは、すでに示されている血液型糖鎖抗原の生化学的構造を免疫学的に支援するものといえよう。 以上のように、申請者の作製したmonoclonal抗体は、血液判定用として有用であり、法医学領域における利用価値もある。同時に、赤血球膜抗原の新しい情報の提供にも貢献するものであった。
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