研究概要 |
NPY測定の基礎的検討と臨床的意義についての検討を行った. 既に作製した抗NPY血清を用いたRIAにて, 褐色細胞腫・神経芽腫群腫瘍を含めた種々疾患血中NPYと腫瘍組織中NPYを測定し, Sephadex G50によるゲル・クロマトグラフィーとHPLCによる検討を加えた. 褐色細胞腫では患者血中NPYと腫瘍組織中NPY含量との間には正の相関関係が認められ, また静脈サンプリングでは腫瘍のdrainage vein中のNPYが他部位に比べ高値であった腫瘍自身よりNPYが放出されると考えられた(昭和62年11月日本内分泌学会秋期大会). また神経芽腫群腫瘍では血中NPYが高値を示した例が予後が悪く, NPYは本腫瘍の生命予後のマーカーとして, HVA, VMAよりもむしろ有用であると思われた. 免疫染色では, 褐色細胞腫・神経芽腫群腫瘍双方で腫瘍細胞に腸性所見が認められた. (昭和63年3月日本内科学会発表予定). これらNPY産生腫瘍の腫瘍組織中NPYをSephadex G50にて検討したところ, 17例中3例を除きNPY免疫活性の大部分は合成NPYに一致した部位に認められたが, 3例では比較的多量のNPY免疫活性が大分子領域に認められ, NPY precursorの存在が示唆された. (1988, 7月国際内分泌学会発表予定). また腎不全では健常者に比べ血中NPYが高値を示し, 非透析者では血中NPYは血清Crに正の相関を示し, 腎がNPY代謝に関与していること, NPYが腎不全時の高血圧の一因である可能性を示唆した(J. Hypertension1987).以上の様に研究補助金により広範囲にわたるNPY研究が可能となった.
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