研究概要 |
1.癌化学療法の効果判定は腫瘍の大きさおよび生存期間の検討によって行われている. 糖要求性は腫瘍細胞の生理学的特性の一つである. この腫瘍細胞の特性を利用して, 我々は実験的には, glucoseと同様に腫瘍細胞に取り込まれる^<18>F(半減期110分)を標識し陽電子を放出するglucoseのanalog, ^<18>FDG(2-deoxy-2-〔^<18>F〕fluoro-D-glucose)のラット腫瘍組織(AH272)への化学療法による摂取変化を効果判定に利用し得る成績を得ている. 今年度は, 化学療法施行下, ^<18>FDG投与とポジトロンCT(PET)により, 臨床的に腫瘍画像を作成し, その画像変化と現行の化学療法効果判定成績とを比較検討した. 対象は前年度の症例も含めた10例の進行癌患者である. 胃癌5例, 結腸癌2例, 乳癌, 食道癌および肝癌各1例である. また, 腫瘍への^<18>FDG摂取の変化をDAR比により数量化した. DAR(Differential Absorption Ratio)=(PET count X calibration factor)/(injected dose/body weight), DAR比=DAR/前回DAR この10症例では, 形態学的変化による現行の効果判定成績と^<18>FDG-PET腫瘍画像変化との間には高い相関がみられ, 非奏効例では腫瘍像は増大し, ^<18>FDG腫瘍摂取変化値DAR比は1.0以上であり, 奏効例では腫瘍像は縮小し, DAR比は1.0以下であった. 現行の効果判定のカテゴリーとこれらPET腫瘍像の変化との間には矛盾がなかった. 本画像診断法は化療による腫瘍の形態学的変化を示すのみならず, 腫瘍の糖代謝変化を数量表現し得るものと考え, 癌化学療法効果判定に資するものであろう. 2.アントラサイクリン剤(aclacinomycin, mitoxantroneおよびKRN8602)の1/2LD_<50>投与ラット3日目の^<18>FDG心摂取率の低下をみた. 制癌剤心毒性の検出を, ^<18>FDG心摂取障害相から行えないかを検討している.
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