研究課題/領域番号 |
61570304
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
村勢 敏郎 東大, 医学部, 助手 (60107612)
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研究分担者 |
石橋 俊 東京大学, 医学部, 医員
高橋 慶一 東京大学, 医学部, 医員
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キーワード | マクロファージ / 細胞内脂質蓄積 / リポタンパクリパーゼ |
研究概要 |
マクロファージの泡沫化機構に関して、ヒト末梢血単球-マクロファージおよびラット肺胞マクロファージを使って以下のような研究をおこない。研究成果がえられた。 1.ヒト末梢血単球を分離し、10〜20日培養してマクロファージ化した細胞に、糖尿病患者ならびに非糖尿病者(正常者および【IV】型高脂血症)より得られた血漿リポタンパク分画・超低比重リポタンパク(VLDL)を48時間負荷し、細胞内に蓄積された脂質量-トリグリセリド(TG)とコレステロール(TC)-を測定するとともに、VLDLを分解して細胞内への取り込みに関与する酵素・リポタンパクリパーゼ(LPL)を測定した。VLDLの負荷により、マクロファージの細胞内の脂質蓄積量はTG,TCとも著明に増加した。この際蓄積量はVLDL-TGの絶対量に依存して増加し、高TG血症の程度が強いほど細胞内TG蓄積量が大であった。更に、TG蓄積量とマクロファージが分秘するLPL活性との間には有意な相関がみとめられLPLがVLDLの細胞内への取り込み量を規定する重要な因子となっていることが考えられた。糖尿病患者と非糖尿病のVLDLとの間には、差異は認められなかった。これらの成績は昭和62年度糖尿病学会で口演予定である。 2.ラット肺胞マクロファージを培養し、これに高コレステロール(C)食で飼育したラットよりえられた血漿リポタンパク分画を添加した。高C食は血漿リポタンパク、とくにVLDLに著しい変化をもたらし、とくにβ-VLDLを誘導する。β-VLDLは動脈硬化惹起性リポタンパクとして知られている。高C食誘導VLDLは培養マクロファージ細胞内のTCならびにTG蓄積量の著しい増加をもたらし、細胞は形態学的にも大型化した。また同時にLPLの分秘の亢進もひきおこした。これらの研究成果については、現在論文投稿中である。
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