研究課題/領域番号 |
61570331
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研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
蓮村 靖 医科歯科大, 医学部, 助教授 (40019956)
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研究分担者 |
入江 徹也 東京医科歯科大学, 医学部, 助手 (70183192)
大宮司 有一 東京医科歯科大学, 医学部, 助手 (40155289)
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キーワード | 慢性活動性肝炎 / 免疫調節細胞系 / ステロイド / インターロイキン2反能能 |
研究概要 |
慢性活動性肝炎の発症機構を解明する目的で、本症の免疫異常とくに肝自己抗体産生状態を分析するとともに、自己抗体産生を惹起させる要因となる免疫調節細胞系の機能異常の性状を分析して、以下のような成果をあげた。1.肝細胞膜抗体:遊離家兎肝細胞と抗ヒトIgG,IgAを用いたラジオイムノアッセイで血中のIgG・IgA型抗肝細胞膜抗体を測定した。そして慢性活動性肝炎では、IgG・IgA型の両型ともに、ルポイド型の方がB型・非A非B型より明瞭に陽性率が高く、また抗体価も高値であることを明らかにした。2.抗アシアロ糖蛋白受容体抗体:肝細胞にのみ特異的に局在するアシアロ糖蛋白受容体を抽出・精製し、これを用いて血中抗受容体抗体を測定した。家兎に作成した受容体特異抗血清では肝細胞膜のみが特異的に染色されたが、抗受容体抗体は慢性肝炎のルポイド型・B型・非A非B型のいずれの病型においても血中には検出されなかった。3.免疫調節細胞機能の分析:免疫調節系で重要な役割を担うサプレッサーT細胞活性・リンパ球のインターロイキン2(IL-2)産生能と反応能を測定した。そして、サプレッサーT細胞活性低下とIL-2反応能低下が慢性活動性肝炎に特徴的に認められることを明らかにした。さらに注目すべき所見として、約8週間のステロイド治療ののちにSGOT値とガンマグロブリン値の著明な低下が得られたステロイド有効群において、上のリンパ球機能低下がステロイド治療によって正常化することを示した。4.免疫調節細胞に及ぼすステロイド効果:リンパ球機能測定時にprednisolone 10μg/mlを測定系に添加して、リンパ球機能に及ぼすステロイド効果を検索した。その結果、慢性活動性肝炎の一部の症例では、このステロイド添加によって低下していたサプレッサーT細胞活性とIL-2反応能が正常化することを認めた。以上の研究成果から、慢性活動性肝炎の本態は免疫調節細胞の機能異常であることを明らかにした。
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