研究概要 |
1.スタンダード抗PCNA抗血清の保存: オクタローニー法で20〜40倍の抗PCNA抗体を含むSLE患者血清を約50ml確保できた。標準抗血清として使用可能となった。 2.肝癌患者血清中の抗PCNA抗体の検索: PCNA抗体は抗核抗体の一部として存在するので、まず肝癌患者血清中の抗核抗体を蛍光抗体間接法により検出した。抗核抗体の検出は基質細胞を変えることによりその検出率が異なりとくに培養細胞を用いることにより新たな抗核抗体の存在が示唆された。さらに肝癌患者160例,肝癌以外の悪性腫瘍66例、慢性肝炎・肝硬変62例、健常者235例を対象とし、基質細胞として悪性癌細胞であるHEp2、PLC/PRE/5と4種の非癌培養細胞を使用することにより蛍光抗体法で検出される抗核抗体の出現態度を比較検討した。肝癌患者160例中36例(22.5%)は非癌細胞に反応せず、癌細胞とのみ反応した。このうちHEp2細胞の核とのみ、320倍以上比較的高力価で反応するものが22例あった。癌細胞核内にPCNA抗原が含まれていることから、これら血清中には抗PCNA抗体が含有されている可能性がある。そこでオクタローニー法によりスタンダードの抗PCNA抗血清(SLE患者血清)と同定を試みた。しかしながら明らかな沈降線を認めなかった。原因として癌患者血清中の抗体価が低いことが孝えられる。今後は培養細胞よりPCNAを精製しimmunoblotting法により同定を試みる必要がある。 3.PCNAの精製: 現在培養細胞Wil2細胞よりPCNAの精製を試みている。
|