研究課題/領域番号 |
61570345
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研究機関 | 香川医科大学 |
研究代表者 |
西岡 幹夫 香川医大, 医学部, 教授 (30034937)
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研究分担者 |
白井 睦訓 香川医科大学, 医学部附属病院, 医員
寺田 総一郎 香川医科大学, 医学部, 助手 (40163919)
香川 博幸 香川医科大学, 医学部, 助手 (70169382)
渡辺 精四郎 香川医科大学, 医学部附属病院, 講師 (00158635)
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キーワード | B型肝炎 / 慢性活動性肝炎 / recombinant interlenkin 2 / HBV / Natural Killer 細胞 / lymphokine activated Killer 細胞 / 免疫賦活療法 / DNA polymerase |
研究概要 |
HBe抗原陽性B型慢性肝炎では血清中DNPポリメラーゼ活性が高く、肝組織内にHBc抗原陽性肝細胞が集簇して認められ、HBVの増殖が活発である。免疫病理学的にみると、末梢血のNK細胞活性の低下、リンパ球のinterleukin2産生能の低下などが観察され、HBVを排除するための免疫応答が十分でないことがうかがえる。肝組織内でもOKT8陽性細胞は認められるものの、Leu11陽性細胞はきわめて少ない。以上のような、本疾患における免疫不全を回復する目的で、従来から各種インターフェロンの投与を行ってきたが、その効果についてはなお満足のいく成績ではない。今回Biologicol response modifierとして注目をあびているInterleukin2(IL-2)の臨床応用を試みた。すなわち、recombinant IL-2(Takeda)を投与し、臨床所見、抗ウィルス効果、ならびに免疫マーカーに対する影響を検討した。 現在、7症例につき検討を加えた結果、重篤な副作用はなく、投与2週間目に血清transaminase値の上昇を認めた。ウィルス効果では、7例中6例でDNA-P活性の低下、4例に陰性化,またe抗原の陰性化は一過性を含める例(43%)にみられ、肝生検組織像の改善やHBs抗原、HBc抗原陽性肝細胞数の減少も約60%にみるなど、今後、新しい免疫療法の一つとして十分期待のもてる成績を得た。免疫学的にはOKT4陽性細胞数の変動、NKおよびLAK活性の上昇をIL-2投与時に認め、また肝組織内でもLeu11陽性細胞数の増加や、OKT8陽性細胞の実質内への浸潤など、rIL-2投与による免疫活性化が確認された。 さらに現在はより効果的な治療を目標に患者数を増加し、投与方法(静注や筋注法)、投与期間、量、また抗ウイルス剤との併用の問題につき検討している。また臨床応用に関して、そのresponseを正確にmonitorする方法を研究中であり、その一つとしてNK活性値が有用であることを見い出している。
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