研究概要 |
モルモットの単離壁細胞の塩酸分泌のパロメータとなるaminopyrine intake量(【^(14)C】-Ap)を測定し、epidermal gronth factor(EGF)の胃酸分泌抑制機構壁細胞の胃酸生成の最後の機構に関与する【H^+】【K^+】AT Paseに対する阻害剤(オメプラゾール)を用いて壁細胞の胃酸分泌機構、【H_2】受容体拮抗剤であるイミダゾール環をもつシメチジンとベンゼン環を持つ塩酸ロキサチジンアセテートを用いて受容体と受容体拮抗剤の化学構造上の連関について検討し、下記の如き成績を得た。1)EGFはヒスタミン,ガストリン及びdibutyryl cyclicAMP刺激による【^(14)C】-Apを1mg/ml〜10mg/mlの低濃度にて著明に抑制し、カルバコール刺激に対しては抑制は認められなかった。以上の成績よりEGFの胃酸分泌抑制作用は、直接壁細胞に作用し且つその抑制作用は選択的であり、カルバコール刺激は抑制しなかった。またEGFはdibutyryl cyclicAMP刺激に対し抑制効果を認めたことから壁細胞内のcyclicAMP上昇以後の細胞内機序にEGFが作用することが推定された。2)【H^+】/【K^+】AT Pase阻害剤オメプラゾールは【10^(-6)】Mの濃度にてヒスタミン(【10^(-5)】M),ガストリン(【10^(-6)】M)及びカルバコール(【10^(-4)】M)の刺激による【^(14)C】-APの取りこみを著明に抑制した。以上の成積はヒスタミン,ガストリン及びカルバコールによる胃酸分泌機構はすべて【H^+】/【K^+】AT Paseを介することを明らかにしたものである。3)ベンゼン環をもつ塩酸ロキサジンアセテートは【10^(-4)】Mの濃度よりヒスタミン刺激に対し用量依存的に抑制し、5X【10^(-5)】で完全に抑制し、50%抑制濃度で比較するとイミダゾール環をもつシメチジンの約6倍の効果を示した。しかし、カルバコール及びガストリン刺激に対しては抑制効果は認められなかった。以上の成積よりシメチジンと同様に選択的な【H_2】受容体拮抗剤であり、拮抗剤の化学構造と受容体との関連について興味ある成積を得た。
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