研究課題/領域番号 |
61570357
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研究機関 | 関西医科大学 |
研究代表者 |
鮫島 美子 関西医科大学, 医学部, 教授 (90077602)
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研究分担者 |
沢村 隆也 関西医科大学, 医学部, 講師 (10105786)
塩崎 安子 関西医科大学, 医学部, 助教授 (70077634)
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キーワード | ヘマトボルフィリン / 癌細胞 / アルブミン / ヘモペキシン / ヘモペキシンレセプター |
研究概要 |
ヘマトポルフィリン(Hp)の癌細胞への取り込み機構については、Hp-ヘモペキシン複合体からヘモペキシンレセプターを介する取り込みと、Hp-アルブミン複合体を介する二つの経路が存在することを明らかにしてきた。そこで、種々の細胞を用いて、これら二つの経路のどちらが優先的にHpを細胞内へ取り込むことが出来るか、また、それらの取り込みと細胞表面のヘモペキシンレセプター数の変動に依存するか否かについて検討を加えた。ラット肝初代培養細胞を用いて、Hp-ヘモペキシン複合体およびHp-アルブミン複合体を細胞とインキュベートした結果、Hp-アルブミン複合体を介するHpの取り込みがHp-ヘモペキシン複合体の場合よりも多く、肝癌細胞(dRLH-84)によるHp-アルブミン複合体を介する取り込み量よりも増加した。また、dRLH-84細胞における表面のヘモペキシンレセプター数は、0.38nmolヘモペキシン/mg of Proteinであり、肝初代培養細胞のレセプター数よりも著しく多かった。従って、ラット肝癌細胞のHp-ヘモペキシン複合体を介するHpの相対的な取り込みの増加は、癌細胞におけるヘモペキシンレセプターの増加によることが明らかになった。また、Hpを癌細胞に取り込ませた後の細胞内代謝の変動についても検討した。その結果、ストレス時に誘導されてくる典型的なストレス蛋白質である32キロダルトンの蛋白質の誘導が認められた。次に様々の癌細胞を用いて、Hp-ヘモペキシン複合体およびHp-アルブミン複合体を介するHpの取り込み量を比較した。Hela細胞や繊維芽細胞においては、Hp-アルブミンによる取り込みが優先的であることが観察された。これに対して血球系の癌細胞であるK562、HL60およびU937細胞においては、Hp-ヘモペキシン複合体を介するHpの取り込みが多いことを証明し、これらHp-ヘモペキシン複合体からの取り込み量は、ヘモペキシンレセプター数と相関関係を示すものと推測した。
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