研究課題/領域番号 |
61570359
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研究機関 | 産業医科大学 |
研究代表者 |
荒井 正夫 産業医大, 医学部, 講師 (80175182)
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研究分担者 |
中野 祐里 産業医科大学, 中央臨床検査部, 実験助手
奥野 府夫 産業医科大学医療技術短期大学, 第1内科・教授, 助教授 (40101985)
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キーワード | 慢性アルコール摂取 / エンドトキシン / 肝微小循環 / 血小板機能 / 凝固線溶系機能 / 補体活性 / 網内系機能 |
研究概要 |
重症アルコール性肝障害時にはエンドトキシン血症とともに、時として多臓器不全を呈すことがある。しかし、アルコール依存症者の肝臓をはじめこれら各種臓器障害の発症にエンドトキシンがいかに関与しているかについて不明な点が多い。そこで、今回、慢性アルコール摂取ラットでの肝障害発症へのエンドトキシンの影響について検討したところ、少量のエンドトキシン投与(0.2mg/100g体重:静注)にても慢性アルコール投与ラットでは対照群と比較して著明な肝障害の発症をみた。即ち、血中GOT、GPT活性の著明な上昇とともに、肝組織学的検索にて好中球や単球の浸潤をともなう巣状壊死を肝小葉の中心静脈域より中間帯にかけて認めた。また、これらの肝組織学的変化と血中GOT、または、GPT活性とはよく相関していた。さらに、血中FDP量やanti thrombin【III】(AT-【III】)活性、血中補体価(C【H_(50)】)についてみたところ、慢性アルコール摂取ラットにて対照群と比較して、血中FDP量の増加、AT-【III】活性やC【H_(50)】値の低下があり、慢性アルコール摂取ラットでは凝固線容系や補体系が少量のエンドトキシン投与にても活性化されやすい状態にある可能性が示唆された。以上より、慢性アルコール摂取後では少量のエンドトキシンにても補体系、凝固線溶系の活性化がおこり、臓器微小循環に影響をおよぼし臓器障害を惹起している可能性が推察された。しかし、その機序については不明な点が多い。その為、現在、慢性アルコール摂取後の血小板、好中球、マクロファージなどの各種血球成分の機能的変化とこれら各種血球成分での活性酸素産生との関連について検討するとともに、これら変化が臓器微小循環にいかに影響を与えるかについても検索中である。
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