研究概要 |
1.肥満細胞増殖因子(MCGF)の採取:ヒト末梢リンパ球にフイトヘマグルチニンを加え無血清培地RITC55-9中で72時間培養後、その上清を硫安沈澱で濃縮し、DEAEセルロースカラムを通してMCGF rich fractionを採取した。その活性をヒト臍帯血単核球をもちいて検定(2週間培養し、その中の好塩基性細胞数を測定)したところ、その至適濃度は1〜3%(v/v)であった。以後の実験はMCGF2%添加で行った。 2.各種呼吸器疾患(サルコイドーシス,肺結核,過敏性肺炎,PIE症候群,肺炎,肺癌,肺線維症,気管支拡張症など)患者より気管支肺胞洗浄(BAL)細胞を採取し、MCGF添加、無添加の系で培養し次の結果を得た。 (n=20) MCGF 好塩基性細胞数1ml %好塩基性細胞 培養1週後 - 1118±320* 0.41±0.10* + 2078±725* 0.80±0.23* 2週後 - 696±245 0.23±0.06* + 1524±463 0.40±0.10* *) P〈0.05 以上よりBAL細胞をT細胞因子存在下で培養すると好塩基性細胞を1〜2週間維持することができた。しかし3週以降は急速に減少した。 3.培養で得られた好塩基性細胞は購入した集細胞遠心装置サイトスピン2により標本を作成し各種染色によって同定した。その結果、培養されてくるヒト肺肥満細胞は単核で、アルシャンブルー陽性、サフラニン・ベルベリン陰性でいわゆる粘膜型肥満細胞であった。サフラニン陽性の結合織型肥満細胞は培養前主として特発性肺線維症のBAL中にみられ 培養後もごくわずか認められた。現在、線維芽細胞を添加することにより当該細胞が増殖してくるかどうか検討中である。尚、いずれのBAL液中にもインターロイキン-3様活性は検出できなかった。
|