研究概要 |
経気道的に入ってくる抗原の吸収経路、とくにリンパ行性ならびに肺毛細血管障害壁を介しての吸収について、分子量の相違する抗原あるいは粒抗原と液性抗原との比較などを目的とた研究である。本年度は粒子抗原を用いての検討を主としているが、二つの問題に直面している。一つはリンパ行性吸収の起らない灌流摘出肺のセットアップ上の問題である。本研究の目的には少くとも6時間は摘出肺を正常に維持する必要があるが、現在約3時間で肺動脈圧の上昇をきたしている。実験動物より心臓および肺を同時に摘出後、心臓カテーテルを挿入して人工ポンプに接続して自己血液で灌流,一方肺はレスピレーターを接続した密閉ボックス内の陰圧にてpassiveにinflateするようにセットアップするところまでは短時間に行えるようになった。しかし当初のsighを入れる装置が充分に作動せず無気肺を起こし同時に肺動脈圧の上昇をきたすため、現在そのシステムに改良を加えているところである。一方、第二点は抗原の問題である。分子量の相違する液性抗原を放射性物質で標識後、CNBγ-activated bealsおよびLatex粒子に附着させいるが、粒子の大きさにバラツキがあり、一定の大きさに揃える方法を考案中である。preliminaryにin vivoに経気道投与を行い、血中の移行を測定したが短時間では血中への移行は少ない。現在血中への移行を遠沈後上清と血球成分とに分離して測定しているが、粒子は血球成分に含まれていると考えられる。いずれもきわめて低い放射性活性しか検出できず、粒子をさらに小さくしてみる予定である。またin vivoでは血中に移行後も速かに肝臓あるいは脾臓などに取り込まれる可能性もあり、臓器内濃度で測定開始したところである。
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