研究課題/領域番号 |
61570368
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
田辺 清勝 東大, 医科学研究所, 助手 (80134625)
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研究分担者 |
中村 義一 東京大学, 医科学研究所, 助教授 (40114590)
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キーワード | カリニ肺炎 / 組換えDNA実験 / 日和見感染症 / エイズ(AIDS) / 血清診断 / 原虫症 / ワクチン / 免疫不全 |
研究概要 |
今年度の研究実績はPneumocystis carinii(以下P.cariniiと略す)からDNAを取り出してプラスミッドDNA(以下、DNAプローブとする)を作製したことである。P.cariniiの材料はヌードラットの感染肺から集シスト法により得た。集シスト後、できるだけ肺成分の混入を避けるため庶糖密度勾配に重層して超遠心法で分離した。シストから核酸を取り出す方法はシスト壁には固いポリサッカライド膜を有しているため、種々の破壊法を試みた結果、リゾチームを最初に反応させ、次ぎにプロテナーゼとデタージント(SDS)で処理することで十分であることが分かった。DNAの抽出法は一般に用いられるフェノール法に従い、エタノールで沈澱回収した。DNAのクローニングにはプラスミッドベクター(【PBR_(322)】)に先に得られたDNAを組込んで行った。この組換えには制限酵素Hind【III】が適当であると考えられたため、この酵素でプラスミッドとP.cariniiのDNAを処理した後、【PBR_(322)】の5´-未端の燐酸基にアルカリフォスファターゼを作用させてブロックしてから両者を結合させた。クローニングにより、20数個の組換えDNAが得られた。このうち、比較的分子量の大きいプローブを数個選んで、ニック法でRI標識し、サザン法でヒトやラットの肺から得られたP.cariniiのDNAとハイブッドさせて、これらの核酸の配列に差異がないかどうか検討した。その結果、P.cariniiのDNAに差異のあることが判明した。この成果を現在、論文にまとめている。 一方、m-RNAから蛋白を合成させ、P.cariniiの構成蛋白を検定するために必要なモノクロナール抗体を4種作成したが、このモノクロを用いた血清診断法についても検討した。その結果、ヒトのカリニ肺炎には血中抗原をEIAで測定する際、モノクローナル抗体では検出できない例があり、ポリクローナル抗体で測定する方がよいと考えられる。ただし、喀痰検査にはモノクロール抗体が役立つことが判明した。
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