研究課題/領域番号 |
61570372
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
呼吸器内科学
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
久世 文幸 京都大学, 胸部疾患研究所, 教授 (10027104)
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研究分担者 |
山本 孝吉 京都大学, 原子炉実験所, 助手 (10166796)
鈴木 康弘 京都大学, 胸部疾患研究所, 教授 (90027110)
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研究期間 (年度) |
1986 – 1988
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キーワード | マウス感染モデル / M.intracellulare / モノクロナール抗体 / 後天性免疫不全 / 細胞性免疫 / 非定型抗酸菌症 |
研究概要 |
肺抗酸菌症なかでもMycobacterium avium-intracellulare complex症に対しては未だに有効な治療薬が得られず、また最近の後天性免疫不全症候群(AIDS)における本菌の高率な合併感染の報告は、有効な治療法の確立を焦眉の問題としている。私達は既に本感染症の感染モデルを開発し、治療術式の検討を鋭意継続しているが、AIDS患者への合併感染の治療研究には免疫不全マウスを用いた実験的検討が必要であると考えた。T細胞のモノクロナール抗体である抗Thy1.2抗体を投与したマウスでは投与1週めまで胸腺及び脾臓においてThy1.2陽性細胞、即ちT細胞の抑制が認められたが、本抗体を毎週投与した感染マウスにおける経時的な肺、肝、脾からの還元生菌数を指標とした検討ではモノクロナール抗体投与群と非投与群との間に、有意な差は認められなかった。当初考えた程T細胞の抑制は単純ではないことが示唆され、感染炎症細胞動態のより詳細な検討が痛感された。幸い私達は抗酸菌感染マウスの炎症細胞動態を知る目的で既にマウスの全肺洗浄法を確立し報告してきた。その手法を発展させ炎症細胞表面抗原発現をモノクロナール抗体を用いその動態を詳細に観察検討し得た。ここに抗酸菌感染に対する炎症細胞動態をより詳細に観察しうるモデルの完成に至った。次のステップとして炎症細胞動態に影響を与えるであろうと考えられる、いわゆるBRMを投与し、炎症細胞動態を非投与群と比較し検討した。γIL-2及びMuramyl dipeplidl誘導体DJ-704投与群においてマクロファージIa抗原発現の上昇及び肺内還元生菌数の抑制傾向が認められた。同時にCyA投与群においても肺内還元生菌数の抑制傾向が認められたことは、生体に対する免疫抑制が単純なものではないことを改めて示唆された。今後、同モデルを用い、より詳細に感染防御免疫の検討を行い、AIDSのモデルになりうる免疫不全マウスを完成させる予定である。
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