間質性肺炎における肺胞マクロファージの増殖機序を研究するために、肺胞洗浄により得られた肺胞マクロファージによる癌遺伝子の発現を検討した。癌遺伝子の発想は癌遺伝子DNAをプローブとしたノーザンブロッティング法で行った。精製したRNAをゲル電気泳動で分子の大きさに応じて分画し、ニトロセルロース膜に吸着させ、放射性同位元素【^(32)P】で標識した癌遺伝子DNAと反応させると、RNAの中に癌遺伝子と相補的な塩基配列を持つものがあれば、それらはハイブリダイズし、【^(32)P】標識された癌遺伝子DNAは洗浄した後もセルロース膜上に固定されX線フィルムを重ねて感光させると黒い斑点として認識され癌遺伝子の発現を知ることができるというのがノーザンブロッティングの原理であるが、私達は癌遺伝子としてマクロファージ系単核細胞の増殖因子CSF-1のリセプターの遺伝子と言われているfmsに注目し、v-fmsをプラズミドpBR322に組み込み大腸菌X1776内で増殖させた後、溶菌させ塩化セシウム起遠沈法にてプラズミドDNAを分離し制限酵素にてzfmsを切り出しゲル電気泳動法にて精製し標品を30μg得た。肺胞マクロファージのRNAの抽出は塩酸グアニジン・塩化セシウム法にて行った。RNAの収量は5μg1【10^6】で、純度の指標である0D260/280は1.7で満足すべきものであった。しかしながら、これらのRNA標本を電気泳動してみると28SのリボゾームRNAが分解しており、RNA分離精製の過程で最もやっかいな内因性リボヌクレアーゼ活性の抑制、外因性リボヌクレアーゼ活性の排除に失敗していることが判明し、このままでは分子量の大きいfmsの検出には使用できないため、現在RNA抽出過呈を再検討中である。
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