研究概要 |
牛血清アルブミン(BSA)と抗BSA抗体によってわれわれの既報(Int Arch Allergy 1985)のように免疫複合体を作成し、ゲル濾過法によって各種サイズの免疫複合体(IC)の作成を行った。これをマウスに静脈内投与し、5,10,15,60分にわたれ経時的にマウス肺組織内での沈着局在状況を、免疫蛍光法,免疫電顕法によって観察した。IC沈着量は既報の場合と同様投与後30、ないし60分に最も沈着量が多く、分子量では小さなものの方が多く取り込まれる傾向がみられたが、健常な肺胞毛細管通過の限界である分子量約40,000以上のICも肺胞I型細胞に取り込まれており、この様な病的条件下での肺胞毛細血管の透過性に異常が起こることが推定された。以上の点について現在さらに詳細な検討を行っている。 さらに、Borderらの方法(J Clin Invest 1982)によって抗原BSAに陰性,中性,陽性の各荷電を与え、等電点電気泳動によって荷電の分布を確認し、上記に述べた方法によって、サイズに加え、荷電の異なったICが肺組織内でどの様な分布を取るかについて検討中である。またこのようにして作った荷電とサイズの異なる抗原BSAを直接マウスに投与して in situ ICが形成されるかどうかについて検討の予定である。
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