研究分担者 |
高瀬 貞夫 東北大学, 医学部脳研神経内科, 助教授 (60004983)
関沢 剛 東北大学, 医学部付属病院神経内科, 助手 (50150264)
義江 修 東北大学, 医学部細菌学, 助手 (10166910)
岩崎 祐三 東北大学, 医学部病態神経学, 教授 (00142927)
平野 紀夫 岩手大学, 農学部・家畜微生物, 助教授 (40092308)
|
研究概要 |
コロナウィルス向神経性強毒株JHMの持続感染OBT細胞から分離されたた弱毒, 小型プラック形成を示す変異株JHMccの中枢神経系における病原性について検討した. 106PFUのJHMccを4週齢ICRマウスの脳内あるいは鼻腔内に接種した. 経時的に脳, 脊髄, 肝, 脾でのウイルス感染価を測定し, 一方還流固定して, 病理学的変化および免疫染色にてウイルス抗原の分布を検索した. サイクロホスファミドを腹腔内投与したマウス(CyM)やBALB/Cヌードマウス(NuM)にも同様の実験をした. 脳内接種では, 5日後頃より20%のマウスに後肢麻痺がみられ次第に進行した. ウイルス感染価は脳および脊髄で4-5日後に最高(106PFU/0.2g)となり, 以後減少し14日後には回収されなくなった. 鼻腔内感染でも2日遅れて同様の増殖曲線が得られた. CyMおよびNuMでは感染増強効果からみられ, 14日後でも脳内からウイルスが回収された. 肝, 脾からはウイルスは分離されなかった. 病理学的には能膜および能内小血管周囲の炎症性細胞浸油, ニューロノファギア, グリア結節に加えて能幹から脊髄全長に及び白質を主とした著明な空腔性病変が特徴であった. この変化はウイルスが回収されなくなった以後も進行し, 電顕では脊髄層間および神経突起に観察された. 免疫染色では, ウイルス増殖に一致して能, 脊髄の神経細胞に広くウイルス抗原が見られたが, 14日以後にはほとんど観察されなくなった. JHM変異株JHMccはマウスに脱能ではなく随鞘層間, 神経突起の空腔性病変を主とした病理変化を惹起し, それはウイルス消失後も進行した. レトロウイルス感染にみられるvacuolar myclopathyやHAMの慢性に経過した脊図に類似し, ウイルス感染に伴う空腔性病変の成因や治療法の解明にこのモデルが有用である.
|