研究課題/領域番号 |
61570392
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研究機関 | 藤田学園保健衛生大学 |
研究代表者 |
鳥飼 勝隆 藤田学園保衛大, 医学部, 教授 (50084520)
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研究分担者 |
吉田 俊治 藤田学園保健衛生大学, 医学部内科学, 助手
稲田 進一 藤田学園保健衛生大学, 医学部内科学, 講師 (70129336)
永田 豊 藤田学園保健衛生大学, 医学部生理学, 教授 (80011493)
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キーワード | 結合織疾患 / レイノー症状 / 自己抗体 / アセチルコリン受容体 / アドレナリン受容体 |
研究概要 |
レイノー現象は寒冷刺激等で誘発される血管攣縮であるが、その発現機序は不明である。血管攣縮にはα1-、α2-アドレナリン受容体(AdrR)ムスカリン性アセチルコリン受容体(m-AchR)や、内皮細胞由来弛緩因子の関与が考えられている。レイノー現象はしばしば自己免疫疾患である結合織疾患(CTD)に発症することから、レイノー現象の発現機序に自己抗体の関与が考えられ、検討している。前年度はヒトの脳灰白質をm-AchRの材料として用い、レイノー現象陽性のCTD患者の血清IgG分画にm-AchR活性を阻害する因子の存在を明らかにした。そこで、本年度は、直接、血管由来の細胞を用いて検討を始めた。ヒト由来の細胞が望ましいが、まだ適切な細胞がえられないので、今回はブタ胸部大動脈平滑筋、および内皮由来の培養細胞(PAS20、PAE20)を用いた。抗受容対抗体の測定の準備として、これら細胞上に上記受容体の存在を検討した。その結果、m-AchRの存在は確認できなかった。しかし、α1-AdrRはscatchard plotにて一直線上に分布し、単一親和性のα1-AdrRの存在が示された。この受容体の材料を用いて患者IgG中のα1-AdrRに対する阻害活性を測定する予定である。 PAE20を用いて患者血清の血管内皮細胞障害性の検討をした。細胞障害を示す死細胞率では、正常人群37.8±5.7%に比し、レイノー現象陽性CTD群71.6±22.1%(P<0.01)、血管炎群76.6±16.6%(P<0.02)と有意に高値を示した。これはCTDの血管病変に内皮細胞障害因子が関与し、またレイノー現象発現に内皮細胞由来の血管弛緩因子の関与が示唆された。以上のごとく、レイノー現象の発現機序に自己抗体の関与を示唆する知見がえられた。
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