研究概要 |
生体計測用NMR装置(JEOL-JNM-GX270, 6.4テスラ)を改良し, ^1H'スペクトル, ^<19>Fスペクトルの連続測定が行えるようにシステムを作成した. まず両側頸動脈えより重水を注入し, それによって起こる^1Hシグナルの低下とその後の回復より脳血流量の算定を行った. また70%クロン23+30%O_2ガスを10分間動物(砂ネズミ)に吸入させ, その後フロンガス吸入を中止した際の脳におけるフロンのクリアランスを^<19>FNMR連続測定により観察した. フロン23の毒性は少なく, 70%フロン23を吸入させた際の血圧, 血液ガス, 脳波への影響はわずかであった. フロン23の血液:ガス分配係数は約0.3であり, 血液への溶解度は小さい. したがって脳を通過した後, その大半は肺より呼気中へ排出され, 脳への再循環はわずかであると考えられる. ^<19>F-フロンガスクリアランスより計算した脳血流インデックスは^<14>Cヨードアンチピリン法により測定した脳血流量とよく相関していた(r=0.84). また5%CO_2吸入時に測定した値はコントロール値に較べて32%の増加を示し, 両側総頸動脈閉寒時に測定した値はコントロール値に較べて90%以上の低下を示した. これらの結果は^<19>F-NMRを用いた脳血流量測定法の精度が高いことを示している. 以上の方法による脳血流量測定と同時に^<31>P-NMRを行うと脳エネルギー代謝を測定することが可能である. 我々はこれらの方法の一部を用いて(1)脳血流量低下と脳エネルギー代謝変化, 脳細胞内pH変化との関係を検討した. また(2)脳や筋肉の細胞内外Naイオンの比侵襲的な測定を行った.
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